後編
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マックスなの?)
突然の事態にすっかりうろたえ、彼の顔を見れずに視線を泳がす。それでもここで何か、彼の言葉に応えなければと思い、焦って口を開いた。
「あ、あの・・・私も・・・本当に・・・だから、良かったら、また・・・」
頭の中がぐるぐるする。何を言うかまとまらないまま、しどろもどろになってしまう。
その言葉を遮るかのように、彼はいきなり真剣な表情を浮かべて ゆかり に歩み寄り、彼女の両肩をつかんでグイッと引き寄せた。
(えっ・・・えっ・・・何??)
一瞬、抱きしめられるのかと思い、思わず身を固くする。
(そんなの急過ぎる〜。こ、心の準備が〜!!)
・・・が、気が付けば ゆかり は彼の背中を見て立っていた。
そして彼は、建物の背後からいきなり現れた巨大なシャドウの前に、ゆかり をかばうように立ちはだかっていた。
「・・・・。」
度重なる予想外の事態に、ゆかり は思考停止して立ちすくんだ。
(もう・・・なんなのよ、今日は。超展開過ぎてついていけない!!)
今は影時間。徘徊するシャドウと出くわす危険性は十分ある。あることはある。
(だからと言ってこのタイミング〜!?)
目の前の状況にも構わず、彼は落ち着いた声で話しを続けた。
「それにね。電車が遅れたのはついてなかったけど、アイギスが持たせてくれたから・・・
今、ここに召喚器がある。」
そう言うと、彼は懐から銃の形をした召喚器を引き抜いてみせた。
「そして、社長がくれたから弓もある。」
続けて、顔をシャドウに向けたまま、もう片方の手に持っていた袋を ゆかり に差し出してきた。
シャドウに通常の武器は効かない。武器はペルソナ使いが持って、初めて威力を発揮する。ペルソナ使いの力が武器を通してシャドウにダメージを与えるのだ。
(それにしたって、おもちゃの弓? 吸盤で引っ付くやつ?)
心でつっこみを入れつつ、それでも ゆかり は急いでビニールを破り弓と矢を引き出す。
「いらないと思ってたものが、役に立ったりもする。予想外の事って本当に面白い。」
彼は平然と話を続けながら、シャドウに向かって足を踏み出した。
二人に気づいたシャドウが雄たけびを上げ向かって来る。
「ペルソナ!」
応えるように彼が召喚器を頭に当てて叫んだ。
彼の体から浮き上がるように異形のペルソナが出現し、火炎攻撃を放つ。
炎に巻かれてシャドウが悶え苦しみ、その場に転倒した。幸運にも弱点属性だったらしい。
「今だ。」
彼の掛け声に合わせて ゆかり は弓を引き絞った。
それと共に猛烈な怒りが湧き上がってくる。
(まったく、何なのよ・・・)
(せっかくのデートだってのに・・・)
(すっごく楽しみにしてたのに・・・)
(次から次へと水を差して・・・最後はシャドウ?)
「いい加減にしなさいよ〜!
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