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第百三十三話 大敗北
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* * * *
かくしてローエングラム陣営は史上最大の敗北を遂げることとなる――。

 遠征軍の総数50万余隻のうち、帰還したものは15万に満たないという大敗北であり、
6,000万以上の将兵の命が散った。主な指揮官の戦死者(行方不明も戦死扱い)として発表されたのは以下の人々である。

 ルグニカ・ウェーゼル
 アレット・ディーティリア
 カール・グスタフ・ケンプ
 フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
 オスカー・フォン・ロイエンタール
 バイエルン候エーバルト
 バーバラ・フォン・パディントン

 そして――。
 イルーナ・フォン・ヴァンクラフト
 

* * * * *
 1週間ほどは、敗残兵の傷の手当、艦艇の修復、被害状況の報告整理に追われることとなった。
 それにともない、新たな情報も入ってきた。アイゼナッハ艦隊は、フェザーンのあった宙域に帰還しているという。混乱が続く総司令部は、キルヒアイスが参謀総長代行に就任し、適宜指示を送り続けていた。アイゼナッハ艦隊に対してはフェザーン方面の警戒を指令。合わせて後方の帝国軍から補給部隊を募ることとした。

 そんな中――。

 フィオーナはイゼルローン要塞の一室に足を踏みいれた。叫びだしたくなりたいほどの重い静けさ。足元から奥に向けて分厚い赤いじゅうたんが敷かれ、光に照らされた中央が祭壇のような物になっている。
 一歩一歩。まるで起き上がりたての病人のようにフラフラと歩を進め、祭壇の上にあるガラスケースに向かう。

「・・・・・・・・」

 イルーナ・フォン・ヴァンクラフトの姿がガラスケースの内側にあった。両手を組んでおり、眼は閉じられている。中はカプセルのような物になっており、防腐処置の施された水がその周りを覆っている。まるで水の中に眠る美女だった。
 
「教官・・・・・」

 どっと両膝を突き、ガラスケースに身を乗り出したフィオーナはかすれ声で言った。

「どうすればいいんですか、私、どうすればいいんですか?」

 イルーナ・フォン・ヴァンクラフトからの答えはない。彼女は眠り続けている。今までも、そしてこれからも、ずっと。

「こんな・・・・こんな時にどうして独りで逝ってしまわれるんですか・・・・?私たちはどうすれば・・・どうすれば・・・・」

 イルーナの顔は眠ったまま、何も答えない。何も話さない。何も。何も・・・・・。

「う、うぅ・・・・」

 こんな時、誰かが側にいてくれれば、とフィオーナは思った。ミュラーがいい、ティアナもいい。けれど、二人ともそばにはいない。医務室と、そして自室にいる。
だから、もう、こみ上げてくるものを押しとどめることができる人はいない。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ・・・・!!!
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