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ペルソナ3 ゆかりっちのパニックデート
前編
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「うん、ちょっと出かけてくる。少し遅くなるかも・・・。」
さりげなくごまかすように言った ゆかり の言葉に、アイギスが小首をかしげる。そして真剣な表情で口を開いた。
「普段より鼓動が早いようです。表情も硬く、ただならぬ緊張感が見られます。コロマルさんも、大型シャドウとの決戦前のような雰囲気だと言っているであります。」
「ええっ!?」
ゆかり は仰天して声を上げた。
「決闘ならば、及ばずながら助太刀いたす、であります。」
「ななな、何を言ってるのカナ?あんたワ。」
思わず声が裏返る。さらに心拍数が上がり、顔が火照った。
「け、決闘なわけないでしょ。時代劇の見すぎなんじゃないの?」
しかし、アイギスは一向に表情を変えずに ゆかり の全身を見回している。
「ちょっと、アイギス? 」
「動きやすい服装ではないようであります。ヒールの高いサンダルはバランスも悪くなります。ジャージに運動靴がお勧めであります。武器を携帯されていないようですが、召喚器を取ってきましょうか?」
(ジャージと運動靴で、武器持ってデートって、どういうキャラなのよ、あたしは!!!)
ゆかり は心の中で思いっきりツッコミを入れた。
(・・・いやいや、ここでアイギスにとやかく言ってもしょうがないし・・・ともかく今はデートが最優先。)
一度深呼吸して頭を冷やしてから、びしっとアイギスを指さすと、
「今日は映画を観てくるだけ! 戦ったりしないの!! 余計な事はしないで留守番してなさいっ!!!」
と決めつけた。
それからくるりとアイギスに背を向け、憤然としてドアを開けた。
「また ゆかり さんに怒られてしまったであります。それにしてもあの緊張感、映画とは過酷なものなのでありますね。」
後ろでコロマルに話しかけるアイギスの声がする。
(つ、疲れた。なんかもう出かける前に疲れた・・・。)
思わず大きなため息が出た。
それでも、ともかく気を取り直し駅に向かう。
そわそわしながら改札近くで待っていると、10分ほど遅れて彼がやって来た。
「ごめん、待たせたね。」
「ううん、大丈夫。それより、1階にアイギスがいたでしょ。なんか言われなかった?」
ゆかり の問いに、彼は苦笑しながら「召喚器を持たされちゃった。」と答えた。
「ええーっ! 持ってきたの?」
「まあ、さすがに影時間までには戻れると思うけど、心配してくれてるみたいだったからね。」
(まったくもう! 余計な事をするなって言ったのに・・・。結局、武器持ってデートになっちゃったじゃない。)
ゆかり は頭を抱えて小さく唸った。

(なんだかスタートからつまずいた感じだけど、せっかくの初デートだし、ともかく切り替えて楽しまなきゃね。)
待望のデートは今まさに始まったのだ。つまらないことにとらわれてい
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