揺籃編
第六話 パランティア星域の遭遇戦(中)
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明となっております…。現在我々は総数二百四十隻と思われる帝国艦隊と恒星パランティアを挟んで対峙しており、敵艦隊はパランティアYの軌道上に展開しております。第1または第3分艦隊の来援があれば敵を撃滅することも容易いのですが」
”…第1、第3分艦隊はダゴン星系に向かっている。本隊はこのままアスターテで待機する。無理をするなよダウニー准将。敵わぬと思ったら引くことだ“
「…閣下!」
“…貴官は今パランティアで敵と対峙している。私はその敵が、敵本隊から先行している索敵部隊ではないかと考えている。となると、ダゴン方面にも同様の敵部隊が展開しているかもしれない。故に第1、第3分艦隊をダゴンに送ったのだ。両分艦隊には敵を発見したなら牽制しつつアスターテに引け、と伝えてある。また、敵が我々の裏をかいてヴァンフリートを抜ける可能性も捨てきれない。故に本隊はアスターテで待機する。既にハイネセンからこちらへ第3艦隊が向かっている。約二十日後の到着予定だ…決して貴官らを見捨てる訳ではないぞ。健闘を祈る、以上だ”
「…あらゆる可能性について対処する、ということですか。微力を尽くします」
「司令、リンチ少…いえ、警備艦隊司令官将は何と?」
「増援は送れない、との事だ。司令官は未発見の敵がいる、と考えておられる。ダゴンに既に第1、第3分艦隊を向かわせたそうだ。その敵がヴァンフリートを抜ける可能性も捨てきれないから、本隊はアスターテを動かん、とさ」
「なるほど…ですが、そう司令官がお考えなのであれば、最初から艦隊全力でアスターテで待機すればよかったのではないかと小官などは思いますが」
「主任参謀、敵を発見してしまったからこそ、他に敵がいないか探らねばならんのだ。考えてみたまえ、最初から我々がアスターテで待っていたら、敵は何の妨害もなくすんなりアスターテまで来てしまうじゃないか。ハイネセンから第3艦隊がこちらへ向かっている。第3艦隊到着まで時間を稼がねばならないんだよ。全くもって迷惑な話だ」
「しかし…パランティアには我々だけですが」
「警備艦隊司令官はアスターテまで引いてもよい、と仰っておられたな。君ならどうするかね?」
「小官が司令のお立場であれば…撤退したします」
「だろうね」
4月21日04:30 パランティア星系、エル・ファシル警備艦隊第2分艦隊、旗艦アウストラ
ヤマト・ウィンチェスター
「…なんで保安要員が艦橋をうろうろしてるんだ?」
ガットマン中尉が苛ついた声を出した。…げっ、マイクじゃないか…!まっすぐ俺に向かってくるんじゃない!周りの視線が痛いだろ!
「よお、無事か?」
「…どうした、マイク…戦闘配備中だろうが」
「俺たちは戦闘配備中も巡察があるのさ。普段は巡察なんて艦橋には来る事無いから、こ
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