10話
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なかったように掠れて呟きのようだったが・・・
ただ、必死さは伝わった。
「ま、待って! ・・・お願い! ・・・助けて・・・」
「いやです」
「即決だな」
ハジメのキッパリとした言い分にギンはアハハハッと苦笑する。
「ど、どうして・・・なんでもする・・・だから・・・」
女の子は必死だ。首から上しか動かないが、それでも必死に顔を上げ懇願する。
だが、ハジメはうっとしそうに
「あのな、こんな奈落の底の更に底で、明らかに封印されているような奴を解放するわけないだろう? 絶対ヤバイって。見たところ封印以外何もないみたいだし・・・脱出には役立ちそうもない。という訳で・・・」
「全く以て、正論だな。情報を持ってるかどうかもわかんねぇし。ここは見捨てるしかねぇだろう」
ギンも同意見である。
而して、少女も少女で必死である。
もう泣きそうな表情で必死に声を張り上げる。
「ちがう! ケホッ・・・私、悪くない! ・・・待って! 私・・・」
知らんとばかりに扉を閉めていき、もうわずかで完全に閉じるという時、ハジメは歯噛みした。もう少し早く閉めていれば聞かずに済んだのにと。
「《《裏切られた》》だけ!」
もう僅かしか開いていない扉。
しかし、女の子の叫びに、閉じられていく扉は止まった。ほんの僅かな光だけが細く暗い部屋に差し込む。
此について、ギンはハアと息を吐く。
(どうやら、心の中でまだ裏切られたことを忘れていないようだな)
ギンは知ってる。援護射撃の際、一つだけ、ギンとハジメに向けられていたことに放った人間もギンは知ってるし。ハジメもなんとなく想像がついてたが、裏切られたというのは彼の心の中に響いてるようだ。
ギンは仕方ないと思い、
「ハジメ・・・助けてやりな」
「良いのか?」
「いいさ。お前の中にも人間の心があるんだからな。それに責任は俺が全部とるよ。それが船長というものだろう?」
「いつから、俺はおめえの部下になったんだ?」
「知らねぇ〜な」
「まあ、俺としてはおめえの部下だったら、悪くねぇと思ってる」
此には、流石のギンもカッと笑みを零した。
ハジメは頭をカリカリと掻きながら、女の子に歩み寄る。もちろん油断はしない。
「裏切られたと言ったな? だがそれは、お前が封印された理由になっていない。その話が本当だとして、裏切った奴はどうしてお前をここに封印したんだ?」
それには、ギンも同じである。
(確かにこんな所に一人でいること自体があり得ない。自分から来たって感じがしないから。第三者によって・・・閉じ込められたというのがあり得るな)
ギンの考えと
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