アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
白き地獄の底でA
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足の砲撃は、攻撃の失敗に見せ掛けてバリアを解除させるための布石。ホワイトアウトの発動は最初からこれが本命だったのだ。
「《フリージングチェイン》……詰みだ」
バインドでなのはを拘束した暁人は、大技を放つべく魔力を集中させる。この拘束して大出力砲撃というのは、本来ならなのはが得意とする戦法である。その事を暁人が知っている事を前提にしていたから、なのはは暁人が近づいた時に「接近戦を狙っている」と誤認した。目隠しもその為だと思った。けれども放たれたのは砲撃であり、同時に突然降って湧いたようなチャンスに、ほんの僅かだが警戒が緩んだ。それすらも彼は計算に入れていたのだ。
強い。なのはは暁人の事をシンプルにそう思った。戦闘技術に隙が無く、魔力運用も極めて精密。そして未来予知めいた先読み能力。才能ある体にデザインされたとはいえ、その域に至るまでに相当な苦行を自身に強いた筈である。その積み上げた時間に、その果てのこの強さに、彼女が抱いたのは心からの称賛と、一つの疑問であった。
「《アヴァランチブレイカー》」
放たれた白き奔流は、それら全てを飲み込んだ。
「驚いたな……流石、と言うべきか」
ぽつりと暁人が溢す。視線の先には相変わらず強い意思を秘めた瞳で彼を見つめるなのはがいた。バリアジャケットにはそれなりのダメージが入っているがまだ余裕があるのか、戦闘続行は可能なように見えた。
前回は一撃で戦闘不能まで追い込んだ暁人の収束砲、アヴァランチブレイカーだが、今回は凌がれた。理由は単純、対応時間の有無だ。前回はダイアモンドダストを使用し、チャージ時間を驚異的なまでに短縮して放ったが今回は違う。これだけの数のゴーレム、指示するだけでもそれなりの魔力を使う上、今回は野外だ。ダイアモンドダストまで使ってはすぐに魔力が尽きてしまう。故に普通にチャージして放ったのだが、それはなのはに防御する時間を与えるという事でもあったのだ。
障壁を何重にも張って耐えたなのはだが、それでも無傷とはいかない。むしろ見た目以上に疲弊は酷く、一応戦えるがまともな攻撃をあと一回でも受ければそうも言えなくなるだろう。それでも彼女は諦めるつもりは無かった。それまで彼女がしてきたように、限界まで全力全開でぶつかるのが彼女流である。
「……不屈の心とは本当によく言ったものだな」
〈Sir, High magicpower reaction approaching. Two.〉
ハボクックの警告から間髪入れず、二つの影が舞い降りる。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンにクロノ・ハラオウン。これで三対一となった。
「全く、面倒な事になった……」
そう呟く暁人の声に、それ
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