TURN32 奇襲その六
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自分の祖国に淡々とだ。こう話したのである。
「全ては」
「どうも僕はもっとはっきりしたことが好きなんだけれどな」
「正攻法以外もやり方があるから」
やはり淡々と述べるドロシーだった。
「そこは任せて」
「そうか。僕の為なのはわかったぞ」
「そういうこと。じゃあ」
ドロシーは祖国に応える。また出て来た祖国に。
「マニラに戻って」
「よし、戻るぞ」
こう言ってまた消えたアメリカだった。ハンナ達はまだ間に合うと思っていた。それも充分に。
だがマイクロネシア、ガメリカの対日前線基地にもなっているその星域ではまだバカンスの最中だった。そしてビーチにおいてだった。
様々な肌の色の者達が楽しく遊んでいた。その中で。
金髪をリーゼントにして青い何か書いた様な目と高い鼻を持つそばかすの青年、ガメリカ軍の軍服を着た彼が楽しそうにこんなことを言っていた。全体的にかかしに似ている。
「ははは、気持ちいい日だね」
「あれっ、提督は泳がれないんですか?」
「軍服のままですけれど」
「僕は今日はスイミングは遠慮するよ」
そうするとだ。彼、ジョニー=A=ネクスンはこう言うのだった。
「気分じゃないからね」
「だからですか」
「それでなんですか」
「そうだよ。ところで君達」
ネクスンは兵士達、水着姿の彼等に笑顔で言っていく。
「最近調子はどうだい?」
「体調ですか?」
「それとも他の調子ですか?」
「そうだね。他の調子だね」
ここではそうした意味での調子だった。
「遊ぶことについてはどうだい?」
「ええ、御覧の通りです」
「こうして楽しくやってますよ」
「何かと」
「だといいんだ。日本帝国との関係は緊張しているからな」
このことはネクスンもわかっている。それもよく。
「今のうちに羽根を伸ばしておこう」
「戦死しても悔いがない様に」
「その為にもですね」
「そう。ただ僕はね」
彼はどうかというのだ。他ならぬネクスン自身は。
「運が強いんだよね」
「あれっ、皆提督はハードラックって言ってますよ」
「そう言ってますけれど」
「違うんですか?」
「何言ってるんだ、このジョニー=A=ネクスン永遠の二十四歳」
永遠の厄年である。
「昔から運がいいんだよ」
「けど何かと死亡フラグ立てますよね」
「提督ご自身で」
「この前も戦争の後で結婚するんだって仰ってましたよね」
「それは違うんですか?」
「何言ってるんだ、僕みたいに運がいい人間はいないよ」
愛嬌を出したつもりでだ。ネクスンは右手を瞑ってみせた。
「昔から何があっても生き残ってるんだからな」
「提督だけってことか?」
「何か士官学校でも提督の行く先々で何か起こったらしいしな」
「だよな。それじゃあな」
「やっぱ
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