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黒魔術師松本沙耶香 糸師篇
第九章
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 青い渦を己の前に出してその中に入った、そこを潜るともう秋葉原の路地裏に着いていた。
 秋葉原に着くとすぐにロゼッティに向かった、店はまだ開いていなかったが開店に備えて清掃中で。
 まずは店の扉に触れて魔術で鍵を開けて中に入った、そのうえで清掃にあたっている店のメイド達を目からチャームの魔術をかけ。
 自分を怪しまないどころか慕う様にしてそれから彼女のことを聞いた、だが同僚のメイド達は彼女のことを心配するばかりで何も知らず店長なら若しかしてと言うばかりだった、それで紗耶香は店長はいるかどうかを聞いて店長室にいると言われてだった。
 店長室に向かった、そこで紗耶香は気の弱そうな中年男でメイド喫茶に相応しくタキシード姿どうも似合っていないその服装を着ている彼にもチャームの魔術をかけてそのうえで話を聞くことにした、それでだった。
 店長は紗耶香に心配そうに話した。
「何かお店のお客さんに原宿によく行くならって声をかけられてました」
「お客さんに」
「はい、何か得体の知れないお客さんでした」
「得体の知れない」 
 紗耶香は店長のその言葉に見るべきものを見たと感じた、それでだった。
 目の光の色を変えてだ、こう言った。
「どういったお客さんかしら」
「動きが何かですギクシャクとした感じの」
「動きが」
「そして言葉も抑揚がない」
「そうした感じだったのね」
「非常に変わったお客様でした」 
 こう紗耶香に話した。
「見ていて」
「そうだったのね」
「お顔は普通で服装も特にです」
「おかしなところはなかったのね」
「清潔な感じの、ただ」
 それでもというのだ。
「動きはです」
「ギクシャクとしていて」
「言葉もです」
「抑揚はなくて」
「何といいますか」
 考える顔になってだった、店長はそのうえで紗耶香に話した。
「人形が動いて喋っている様な」
「人形が」
「それも操られている」
「マリオネットね」
 操られている人形と聞いてだ、紗耶香はすぐに言った。
「つまりは」
「はい、何故かです」
「そうした感じだったのね」
「そうでした、そのお客さんにです」
「原宿に誘われて」
「そのうえで、です」
「原宿に行って」
 そのうえでというのだ。
「おそらくですが」
「いなくなったのね」
「どうやら」
「わかったわ、ではね」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 紗耶香は店長に微笑んで話した。
「彼女を救い出してくるわ」
「そうしてくれますか」
「ええ、待っていてね」
「どういうことかわかりませんが」
 それでもとだ、店長は自分に術をかけて話しているとはいえ吉報を約束した紗耶香に対して期待する声で応えた。
「出来ればです」
「彼女をなのね」
「お店の娘はどの娘も大事で
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