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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第三話 着任、エル・ファシル
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ヴァッリ中尉はまじまじと俺達を見つめている。
「貴方達も大変よねえ、十八で一等兵曹だなんて。まあ、私だって十九で少尉になったから似たようなものね。…艦隊勤務は初めて?」
十代で少尉任官?ああ、士官学校出身者か。
彼女の問いに俺が答えようとするとマイクが身を乗り出して来た。
「はい、艦隊は半年ほど部隊実習で経験したのみであります」
「貴方は?」
「マイケル・ダグラス一等兵曹であります。是非、マイクとお呼びください」
「…マイクね。了解了解。じゃあこっちの君がバルクマン兵曹ね」
「はい、オットー・バルクマンであります。よろしくお願いします」
「なるほどなるほど…黒髪がウィンチェスター兵曹で、金髪がダグラス兵曹、銀髪がバルクマン兵曹ね。
分かりやすくていいわ。…改めまして、私は内務長のパオラ・カヴァッリ中尉です。今後とも宜しく。…このあとは一七〇〇まで身辺整理とします。時間になったらまた私の所に来るように」
「はい」
「了解です」
「了解しました」


4月15日18:30 エル・ファシル、エル・ファシル中央区8番街、レストラン「サンタモニカ」

 「ここは私の行きつけなの。ラビオリとボンゴレが美味しいのよ。ワインはまあまあね」
そうなのだ、上陸したと思ったらカヴァッリ中尉も一緒だった。歓迎会を開いてくれるらしい。
マイクはノリノリだった。もしかしたら今夜は中尉と…とかほざいている。
オットーは配置表を覚えないと…とか言ってアウストラに残るつもりだったのが無理矢理連れ出された。

 とりあえずの乾杯が済むと、カヴァッリ中尉が切り出した。
「細々とした事はいずれ覚えるでしょうから、貴方達の配置だけ教えておくわね。ウィンチェスター兵曹は射撃管制主任補佐になります。バルクマン兵曹は航法管制第1オペレータ。
ダグラス兵曹は艦隊陸戦隊本部付となります。我々のアウストラはエル・ファシル警備艦隊、第2分艦
隊の旗艦戦艦だから、結構忙しいわよ」
「はい、質問です」
「なあに?ダグラス兵曹」
「俺の事はマイクとお呼びください…ではない、俺は陸戦隊希望ですから、艦隊陸戦隊に配属なのは分
かるんですが、なぜアウストラに艦隊陸戦隊の本部があるんですか?通常、陸戦隊本部は艦隊旗艦に
配置されません?」
いい質問だなマイク。でも中尉にマイクと呼んでもらえないのは残念だろう…。俺がいきなり主任補佐というのも面食らうが、マイクの言う通り陸戦隊の配置が少々おかしくないか?

 カヴァッリ中尉はコホン、と咳払いすると、周りを少しだけ気にしながら再び話し始めた。
「ダグラス兵曹の言う通り艦隊陸戦隊本部は、通常は艦隊旗艦に置かれるわ。でもここはエル・ファシル。最前線ということで陸戦隊本部要員はローゼンリッターから人員が派出されてるのよ
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