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戦国異伝供書
第七十六話 美濃に進みその五

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「我等はこれより兵を返す」
「近江の方に」
「そして向かうは野良田ですな」
「あちらですな」
「そうじゃ」
 その通りだとだ、新九郎は家臣達に答えた。
「あちらに向かってな」
「あの地で、ですな」
「六角家の軍勢と戦う」
「そうしますな」
「兵の数も思った通りじゃ」
 六角家のそれもというのだ。
「やはりであったな」
「二万五千ですな」
「それだけですな」
「それだけの数で来ましたな」
「勝つつもりじゃ」 
 六角家にしてもというのだ。
「やはりな」
「ですな、六角家の全軍です」
「その数で来たということは」
「我等に勝つつもりですな」
「あちらも」
「敵も必死じゃ、しかしな」
 六角家のことをさらに話すのだった。
「必死であってもな」
「用意が、ですな」
「我等程ではありませぬな」
「我等の動きを見て集めた兵達で」
「それ止まりですな」
「そうじゃ、これで用意周到にしておったら危うかったが」
 それでもというのだ。
「我等が動いてからでありしかも急いでおる」
「当家の領地に向かっている」
「そうした様ですな」
「ならばじゃ」
 新九郎はさらに話した。
「有利に戦うことが出来そしてじゃ」
「勝てる」
「左様ですな」
「うむ」
 その通りだとだ、家臣達にも答えた。
「勝機は当家にありじゃ」
「では」
「これよりですな」
「野良田に」
「向かうとしよう」
 こう言ってだった、新九郎は浅井家の軍勢一万一千を即座に反転させ美濃ではなく近江の野良田に向かわせた。
 その行軍は速かったがここでだった。
 新九郎は物見に出している者達の報告を聞いて言った。
「よし、六角家の兵達もじゃな」
「野良田に向かっています」
「今もです」
「そうしています」
「ならば」
 それならというのだ。
「戦はそこで行う」
「予定通りに」
「そうなりますな」
「この度は」
「うむ、あの地で戦えば」
 野良田でというのだ。
「間違いなくな」
「我等は勝てますな」
「あの地なら」
「そうなりますな」
「他の地での戦も考えていたが」
 それでもというのだ。
「やはりな」
「あの地ですな」
「あの地での戦ですな」
「それを第一に考えていたので」
「だからですな」
「あの地に来るなら」
 それならとだ、新九郎は確かな声で話した。
「敵の動きも考えておった」
「ですな、これまで」
「幾度も幾通りと」
「ですから六角家の軍勢があの地に来れば」
「確実に勝てますな」
「そうなる、やはり野良田に来た。そして」
 新九郎はさらに言った。
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