8話
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、キリキリと痛みをもって抗議する。だが、ハジメはそんなもの知ったことかと次から次へと飲み込んでいった。
銀華は『超消化力』で胃袋がキリキリすることはなかった。
二人の姿を見たら、完全に野生児といった様子だ。
サバイバル生活。野生児に思われても致し方あるまい。
ハジメだけは衛生的なところに暮らしたから。
酷い匂いと味に涙目になりながらも、ハジメは空腹感から癒されていく感覚に陶然とする。飯を食えるということがこんなに幸せなことだったとは思いもしなかった。夢中になって喰らい続ける。
どれくらいそうやって喰らっていたのか、神水を飲料代わりにするという聖教教会の関係者が知ったら卒倒するような贅沢をしながら腹が膨れ始めた頃、ハジメの体に異変が起こり始めた。ちなみに銀華の身体に変化は起きていない。
「あ? ――ッ!? アガァ!!!」
「南雲!? 大丈夫かッ!?」
突如全身を激しい痛みが襲った。まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚。その痛みは、時間が経てば経つほど激しくなる。
「ぐぅあああっ。な、何がっ――ぐぅううっ!」
「おい!? しっかりしろ!!」
耐え難い痛み。自分を侵食していく何か。ハジメは地面をのたうち回る。幻肢痛など吹き飛ぶような遥かに激しい痛みだ。
銀華はすぐさま、回収しておいた『神水』をハジメに呑ませる。
飲み干したら、荒かった息遣いも落ち着きを取り戻すかと思いきや、再び激痛が襲う。
「ひぃぐがぁぁ!! なんで・・・なおらなぁ、あがぁぁ!」
ハジメの体が痛みに合わせて脈動を始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打つ。至る所からミシッ、メキッという音さえ聞こえてきた。
しかし次の瞬間には、体内の神水が効果をあらわし体の異常を修復していく。修復が終わると再び激痛。そして修復。
それを見て、銀華は
「身体を強化させていやがる。人間における筋肉を壊して、再生するやり方・・・クソ、『神水』の効果が仇になった」
ハジメは絶叫を上げ地面をのたうち回り、頭を何度も壁に打ち付けながら終わりの見えない地獄を味わい続けた。いっそ殺してくれと誰ともなしに願ったが当然叶えられるわけもなくひたすら耐えるしかない。
すると、ハジメの体に変化が現れ始めた。
まず髪から色が抜け落ちてゆく。許容量を超えた痛みのせいか、それとも別の原因か、日本人特有の黒髪がどんどん白くなってゆく。
次いで、筋肉や骨格が徐々に太くなり、体の内側に薄らと赤黒い線が幾本か浮き出始める。
此には、銀華もビックリする。
「不思議な現象が起きてるな・・・」
「何も・・・かも・・・不思議なことだと・・・片付けるなよ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ