1.妖精と死神
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ここに来るまでユウキはユキに何度も話し掛けた。自分が遊んでいたゲームのことを話したり、ここがどんなゲームなのかを聞いたり。しかし、彼は適当な返事で流していくだけで、まともに取り合うことは無かった。それでもユウキは何度も笑顔で話し掛け、ユキはとうとう折れてこのSAOのことを説明。???ログアウト不可能、HP0=死のデスゲーム。それを聞いたユウキの表情は、先程までとは打って変わって青ざめていた。
「着いたぞ」
「……」
「この教会には子どもの面倒を見ているサーシャという名のプレイヤーがいる。お前をソイツに????」
「ね、ねえ!?」
ガシッと、ユキの手を握るユウキ。その手は震えており顔からは不安が読み取れる。この世界の事を知れば無理もないだろう。
「ここで死んだら、現実でも死んじゃうって本当なの…?」
「………現実に戻らない限り、それに対する確証を得る事は出来ない」
「そ、それじゃあ…!?」
「だが。少なくとも今までゲームオーバーになった者がコンティニューして来た例は皆無。それにここまで大掛かりな事を仕出かして、死ぬのは嘘でした、なんて有り得まい」
ユキの言葉にユウキは「そんな…」と漏らす。自身が巻き込まれた恐ろしい状況をひしひしと感じ、彼のことを握る手に力が入った。ぐっと目を瞑るユウキ。恐怖に負けたか……???その様子を見てユキはそう思い、早急に彼女をこの教会に預け自分は立ち去ろうと考え扉に向かって掴まれてない方の手を伸ばす。しかし……。
「怯えてなんかいられないよね」
「あ?」
ユキの手を自身の方に引き寄せる。目を開けたユウキにはもう怯えた表情は無く、強い瞳と笑顔が輝いていた。
「ねえ!ボクのレベル上げ手伝ってよ!」
「何故?」
「だってこんな状況でレベル1って危ないでしょ?だからレベルを上げしなきゃ!そうすれば君にも着いていけるしさ!」
嬉々としながらそう言う。そんな彼女にユキは頭を抱えた。彼にユウキを連れて行くつもりは一切無い。ここで放ってしまい元のソロ生活に戻る気でいる。着いて来る気満々でいるユウキをどう処理するべきか考えていると、教会の扉が開いて1人の女性プレイヤーが出て来た。先程話に出たサーシャだ。
「あら、貴方達は?」
「丁度良い…」
「むぎゅう!」
ユキは手を振り払ってユウキの首根っこを持ちサーシャに突き出す。まるで猫の様な扱いに不満があるらしくユウキは手足をバタバタさせて暴れるも、彼の筋力は相当なものの様で一切ブレない。
「コイツのことをアンタに預けに来た。子どもの面倒見てくれるんだろ?」
「え、ま、まあ……。けど、この子プレイヤーなんですか…?」
「一見NPCに見えなくもないがプレイヤーだ。
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