1.妖精と死神
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三度モンスターの蔦が唸りを上げる。青年に迫る2本の蔦。だがしかし、青年は大鎌を振り上げそれら容易く斬り裂いてしまった。モンスターは悲鳴を上げ、斬り落とされた蔦はポリゴンとなって砕け散る。強い……青年の動きを見てユウキはそう思いポカンと口を開けた状態で彼に見入ってしまう。
青年が一歩踏み込む。次の瞬間、彼は高速でモンスターに接近。その胴体を大鎌で斬りつけた。グリーンゲージだったモンスターのHPは見る見る内に減っていき、イエローからレッド、そしてそのまま0となって砕け散った。
「経験値は微々。ドロップは……大した物では無いか」
ウインドを開いて戦闘結果を確認する青年。そんな彼の背後からユウキはウインドを覗き込む。そして彼の名を見た。
「Yuki……へー、ユキっていうだ!ボクの名前に似てるね!」
「……何だお前は?」
「ボクはユウキだよ!よろしくね!」
ピースをして自己紹介をするユウキ。彼女のことをYukiという名の青年は面倒くさそうに見る。
「言っとくが、俺の名は…」
「背も大きくて男の子って感じなのに、名前は女の子っぽいんだねぇ。でもそのギャップは良いと思うよ!ん、どうかした?」
「いや、もういい…」
呆れながらYuki改めユキは大鎌を背に背負うと踵を返して歩き出す………筈だったのだが、ユウキが手を握ってきたので足を止めた。振り返ると彼女がニコニコしながら自分のことを見てくるではないか。
「何の真似だ?」
「いや〜ボクね、このゲームのことよく知らないからさ、いろいろ教えてほしいなぁ〜、って思って!」
「離せ」
「まあまあそう言わずにさ、せめて安全圏まで連れてってよ!何だか知らないけどボクのレベル、1しかないんだよ〜…」
彼女は一転して「トホホ…」と困った様な表情を見せる。面倒な奴に絡まれてしまった……???そう感じたユキは今日ここに来た自分の身を呪う。
「………第1層まで送ってやる。その後は好きにしろ」
「ほんと!?やったー!!」
また笑顔になるユウキ。ころころと表情の変わるユウキに、ユキは溜め息を吐いた。因みに、ユウキは「第1層まで送ってやる」というところまでしか耳に入っておらず、その後の言葉は聞いていない。それどころかこのまま彼に着いていくつもりである。
「来い」
「はーい!」
元気に手を上げ返事をする彼女にまた溜め息が出る。これがユウキとユキ、数奇な運命に導かれた青年と少女の初めての出逢いであった?????
________________________
数十分後、2人は第1層〈はじまりの街〉のとある教会の前まで来ていた。
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