1.妖精と死神
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と思われる小柄な少女。腰辺りまで伸びた艶のある紫色の長い髪、ルビーの様な紅い瞳。左腰には細身の剣が下げられている。そして何よりも特徴的なのは尖った耳。ファンタジー系の物語に登場するエルフなどの妖精を連想させるもので、一見このゲームのNPCかと思われるが、彼女も立派なプレイヤーだ。名は〈Yuuki〉。友人や姉妹と共にあるVRMMORPGをプレイしていたのだが数時間前、どういう訳か彼女だけがこのソードアート・オンラインの世界に来訪する事になってしまった。当然ログアウトは不可能。いつもはカップルで賑わうこのフロアにも今日は人は居らず、当てもなく彷徨っていたのだ。
「うう〜…レベル1って…。ALOじゃレベルなんて無かったのにぃ〜」
ウインドを開き、嘆く様に自身のステータスを見る。今の彼女のレベルは1でステータスはこの世界での初期値のものになっている。そんな状態で47層というレベルの低いプレイヤーには厳しい場所に放られてしまったのだ、非常に危険な状況である。
「わぁーんっ!なんでログアウト出来ないんだよー!?なんで飛べなくなっちゃったんだよー!?そもそもここどこー!?」
手をジタバタとさせて喚くユウキ。目からは少し涙も溢れている。
そんな大声を出せば、モンスターが誘き寄せられらのは明白であった。彼女の喚き声に反応する様に、巨大な植物型モンスターが蔦を振り回しながら地面より這い出してきた。
「う、うわああああッ!?」
ユウキは突然のことに驚き尻餅を付く。身の丈の五倍程の大きさを持つこのモンスターは蔦を鞭の様に彼女に対して振るう。どうにか転がって躱したユウキだが、削れた地面を見て背筋が凍るのを感じた。
「や、やばいかも…!?」
レベル差はかなりあり、彼女はまだ知らないがHP0=死という性質上、現状はかなり危険な状態だ。奇声を上げながらモンスターが蔦を再び振るう。これは躱せない……迫り来る衝撃に怯え、彼女は目を強く瞑った????
しかし、衝撃は何時迄経っても来ない。恐る恐るユウキが目を開くと……。
「えっ…?」
蔦を受け止める大鎌、それを持つ1人の青年の姿が映った。ボロボロになった灰色のロングコートを纏っている黒髪の青年はユウキのことを護る様に(少なくともユウキにはそう感じられた)モンスターの前に立ち塞がっており、黒と白が交じり合った様なデザインの歪な大鎌は陽の光を反射して妖しい輝きを発していた。
モンスターが蔦を引いて距離を取る。青年は大鎌を下ろし首回して鳴らす。態度は余裕そのもので、その形からは死神を連想させる。
「あ、あの!?」
ユウキが青年に声を掛けようとした時、
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