2話
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芥ヒナコよ」
彼女も自分の名前を言ったら、再び本に視線を落とした。
ふぅ〜ん、見たところ、最低限な会話のみって感じだな。
「そう。ヒナコというのか。俺のことは零士でいいよ。海藤って呼ばれるのをあまり好んでいないんだ」
「・・・・・・そう」
うんざりそうな眼で此方を見てるヒナコ。それもそうだな。
「ああ、見た目と違ってお喋りで、此は本来の自分を知られたくないために身につけたものだ。気にしないでくれ」
「・・・・・・ふぅ〜ん、あっそ」
納得するような感じで言ったので、俺としては変わった奴らばっかだなというのが印象だったが、今度はヒナコから話しかけてきた。
「・・・・・・私から聞くけど、零士って、どうして人を信用していないの」
「ッ・・・・・・!」
という質問に俺は目を見開き、固まってしまう。固まってしまうけども、復帰して口にする。
「俺は物心ついたときから、親の愛情なんて受けていない。時計塔にいたときも人間嫌いというか一匹狼であることを知られたくなくて、社交性、協調性に富んだ人ができてしまった。信用たり得る人にしか心を開かないというのが本音かな」
「・・・・・・・・・・・・そうなんだ」
ヒナコはそれを聞いて、視線を本に戻した。だけど、今度は俺から質問した。
「それじゃあ、キミも教えてほしいな。最初にあったときから、怖がってるのを隠す視線を感じた。何に対して、警戒してるかは知らないけどね」
俺はAチームのことなんか、何にも知らない。昨日今日で知り合ったばっかりのメンツばかりだ。なので、ヒナコが敵意とか殺意みたいな視線を向ける意味を知りたかった。俺が話したのに自分だけ話さないのは不公平に感じたからだ。
俺の右眼の魔眼でヒナコを視たときに、俺にはない途轍もない力を持ってるのがわかる。だけど、何処かで諦めてるのがわかる。なので、聞いてみたら、
「私は・・・・・・・・・・・・人間が憎い」
おや? 何やら、感情がこもって言ってるな。しかも、次に言ったのにも感情がこもってた。
「貴方は・・・・・・人間?」
「はい?」
真面目な顔で意味の分からない質問をされてきた。なので、思わず、気の抜けた声が出てしまった。どうしたんだ急に。
「人間は、私を排除しようとする。私に敵意を向ける。私の存在することを拒む。あの人にも・・・・・・・・・・・・」
ヒナコは諦めたような貌で、憎悪の篭もった貌で、憎しみを燃えるような眼で語ってた。だけども、俺はここで理解した。此が彼女の《《本来の素の感情》》なのだと――。だけど、何か、俺に似ていた気がした。なので、俺は思わず、フッと笑みを零してしまう。
「なにがおかしいの!?」
ヒ
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