其の参 鏡の世界
第二十三話 追いかけっこ
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二人がそろそろ外へ出ようと思った矢先、ギィと背後でドアが開く。
そして、確かに声が聞こえた。『ミィツケタァ』と。
「「……ひっ、ぎゃぁぁぁぁぁあああああああああ????」」
情けなく声を上げながら、二人はその場から逃げ出す。
ドアの前で待ち伏せていたこの世界での元宮のクラスメイト達を押し除けて、一度も振り向かずに。
「なにあれなにあれなにあれ! 生きていた時代にもあんなにもの人数に囲まれたことないぞ??」
「き、鬼神様、静かにー! ただでさえこの世界人間って珍しいんですよね?? バレちゃいますからー!」
「わわわ、わかっている?? それより、この廊下おかしいぞ??」
後ろからクラスメイト達が追いかけてきていることに変わりはない。
だが、何度も何度も「二年五組」と書かれた札が視界の左端をチラつくのだ。
二年四組の札が見えるわけでもなく、行き止まりが出てくるわけでもなく、ただ二年五組の札と廊下が続いている。
その異常に気付いた四番目がすぐにそう伝えると、元宮は四番目の腕を引っ張って五組の教室に入った。
そして、なにをするのかと思えば、ベランダのドアを開けて、柵に飛び乗ったではないか。
「鬼神様、掴まって??」
「は、え……っ、ああ!」
実体化した元宮の手をしっかりと握り、二人は三階のベランダから飛び降りる。
勿論そこまでクラスメイト達が追ってくることはなく、ベランダでばたばたと暴れている。
で、ここからどうするかが問題なのだ。
???勢いで飛び降りたけど、このあとどうしよう。
元宮がそう考えたのを感じとったのか、四番目がきゅっと唇の端を結ぶ。
最早、呆れを通り越して哀れに思えてきた。その意である。
「ごめんなさぁぁぁああああああいぃぃいいいい????」
「飛べ阿呆ぉぉぉおおおおおおおお????」
その考えに至っていなかった元宮は、すぐに四番目を横抱きにし、飛びたいと強く願う。
実体化と同じように、そうすればどうにかなると思ったから。
それは正解だった。
飛びたいと願った元宮の気持ちを叶えるように、現在地面スレスレの場所で静止している。飛べたのだ。
「……阿呆が」
「ごめんなさい」
高いの怖いんだからな、と四番目から文句をぐちぐちと言われていた元宮だが、視界に映った黒っぽい影に興味が映る。
聞いているのかと脅されるが、元宮は気にせずにその影の方へ近付いていって、その肩を叩いた。
「あの、どうしましたか?」
返事が返ってこない。一体、どうしたのだろうと思いながら、その顔を覗き込もうとした瞬間。
元宮はグイッと腕を引かれ、四番目の元
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