暁 〜小説投稿サイト〜
曇天に哭く修羅
第一部
灼熱
[1/2]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
《橘花 翔》の左ストレートが直撃した《立華紫闇》は彼の拳から放たれる白銀の魔晄に包まれてその姿が見えなくなった。

まるで爆発しない禍孔雀(かくじゃく)のように全身を余すこと無く走り抜け、細胞の隙間を縫うようにダメージを与えていく。


「それがどうしたああああッッ!!」


紫闇は気合いで我慢。

銀光を掻き割け前へ。

踏み込んだ先に居た翔の顔目掛けて魔晄外装を纏った右手を握り込み拳を作ると全力全開の禍孔雀をぶち込む。

フルパワーのマックス。

これ以上は出せないだろう力で。

予想外だったのか翔は踏ん張れず、観客席と舞台を隔てる結界の壁面まで吹っ飛び豪快な音を立て叩き付けられた。

しかし落下した彼は平然と着地。

けろりとした顔を向ける。


「どうと言うことは無いな」


吐かれた台詞に紫闇の激情が爆発。

怒りでは無く嬉喜(きき)恍惚(こうこつ)

両者は結界の中を躍動しながら退くこと無く激突し、異能によって停止した時間の中で打撃が衝突し続けた。

紫闇の衣服が破れ血に染まる。

それでも蹴り、殴り、打ち、突く。

動きが(にぶ)っていく。


(限界が近いな)


紫闇の様子から判断した翔は止めを刺す為に今日一番の速度を出すが読まれていた。

紫闇は音隼(おとはや)で魔晄の翼を出し回避。

空振りした翔は体勢を崩していない。

しかしチャンスと紫闇のあれが出る。

音隼/双式(ふたしき)と禍孔雀を同時に発動。

翔との間合いを詰めた。

三羽鳥を同時に使うことで【打心終天(だしんしゅうてん)】をカウンターという枠から解き放ち、あらゆる状況で使えるようにしたのが彼のオリジナルだ。


「黒鋼流異形ノ一・打心終天/(かい)


相手が自身に向かって来る推進力が利用できないなら足りない推進力を自分で生む。

そういうコンセプト。

体内へ衝撃を伝える為の掌打が通常の禍孔雀と比べて数十倍の威力で翔の胸に直撃。


「敗れるのはお前だ立華紫闇」


翔は攻撃を魔晄防壁で受け切る。

彼はわざと攻撃を空振りして隙を見せ、紫闇のことを誘い込んだようだ。

紫闇の攻撃を食らう前提で。

翔は打心終天/改と同等のカウンターを返すことで紫闇を弾丸のように吹き飛ばし、先程のお返しとばかりに結界の壁面へと激突させた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


紫闇の外装に変化。

青から赤のラインに戻る。

会場の人間は理解できていない。

文字通り『瞬き』の間。

それだけで舞台上は破壊された後。

紫闇が倒れていた。

そんな光景。

《クリス・ネバーエ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ