暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第19話:危険な演奏会
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苦しんでいるのだ。

 彼が今感じている苦しみは、本来奏が受ける筈だったものである。

 それを理解した瞬間、奏はなりふり構わず透に飛び掛かった。

「それ止めろぉぉぉぉっ!?」

 このままでは、奏のギアのバックファイアで颯人が苦しむだけでは済まない。

 何としてでも止めさせなくては。

 幸いにもクリスは大技の準備でまともに動けない様子だし、反撃してくるにせよ何にせよ、演奏を止めさせる事が出来ればそれで十分だった。

 バックファイアをこれ以上颯人に受けさせる訳にはいかない為、奏は技を使わず純粋にアームドギアによる攻撃だけで透に仕掛けた。距離は十分詰まり、奏は容赦なくアームドギアを横薙ぎに振るう。
 あわよくば、クリスも同時に仕留める事を狙って。

「おらぁぁぁぁっ!!」

 大きく振るわれ、薙ぎ払われるアームドギア。ノイズ数体を纏めて切り裂けるだけの威力を持ったそれを、しかしクリスと透は予想以上に軽快な動きで回避すると次いで奏に接近し、2人揃って彼女の腹を蹴り飛ばした。

「がっ?!」

 クリスと透の蹴りで颯人の直ぐ近くまで蹴り飛ばされた奏。

 奏から請け負ったバックファイアの苦痛に苦しみながらも、颯人は気力を総動員して立ち上がり飛ばされてきた奏を何とか受け止めた。

「奏……だ、大丈夫か?」
「馬鹿ッ!? あたしの心配より自分の事を────」

 こんな状況でも自分より奏の事を気遣う彼に、奏は焦りを露にしつつ彼の体を支えた。
 一見まだ余裕を残しているように見えるが、相当に辛い筈だ。実際、奏が支えようと彼に触れると、大して力を入れていないにもかかわらず彼の体は大きくグラついた。

 そして彼にばかり気を取られていたが故に、クリスと透に十分な時間を与えてしまった。

 ふとあの2人の事を思い出しそちらに目を向けた奏。彼女の目には、エネルギーを溜めて物騒な輝きを放つ砲口を向けているクリスの姿が映った。

「ッ!? しまった!?」
「ヤバい、退け奏ッ!?」
〈ディフェンド、プリーズ〉

 今にも強烈な砲撃をしてきそうなクリスを見て、颯人は奏を押し退け3人の前に出ると魔法の障壁を展開する。正直なところ、今のコンディションで障壁を張ったところであの明らかにヤバそうな攻撃を相手にどこまで通用するかは微妙だが、やらないよりはマシだ。

「これでも…………喰らいなッ!!」

 そして放たれる砲撃。放たれるは砲弾ではなく、最早ビームと表現すべき光の奔流。

 颯人の障壁はそれを何とか受け止めはするものの、彼自身に多大な負担を強いていた。

 しかもそれだけに留まらず、砲撃を受け止めていた障壁に罅が入り始めた。罅はすぐに障壁全体に広がり、これ以上は持たないことが容易に
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