暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第19話:危険な演奏会
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颯人だったが、状況が宜しくないことに危機感を覚えていた。

 あの2人、思ったよりもずっと強い。いや寧ろ、2人揃ったことで個人で戦ってきた時以上の力を発揮しているように見える。
 現に今も、体勢を立て直した奏や翼、響と共に攻撃を仕掛けていると言うのに互角以上に立ち回られている。

 時に互いに手を取り合い、入れ代わり立ち代わり立ち位置や相手を変え戦うクリスと透。その様はまるで戦っていると言うよりはホールでダンスでも踊っているかの様。剣戟や銃撃音をBGMに舞い踊る2人は、間違いなく今この場を支配していた。

 その事が颯人は非常に面白くなかった。

「ちっくしょう、舞台の主役掻っ攫いやがって。3人共、大丈夫か?」
「あたしはまだ何とか」
「わ、私も、大丈夫です。でも、翼さんが──!?」
「くぅ……」

 体勢を整える意味も込めて一旦あの2人から距離を取り1か所に集まる4人。
 この中で一番消耗が激しいのは翼だった。彼女はこの直前の戦闘で既にクリス相手に苦戦を強いられ、消耗していたのだ。其処に加えて、今し方の戦闘で更に消耗し動く事すら儘ならなくなってしまった。
 翼はもう限界だった。

 これ以上は不味い。それを感じ取った颯人はクリスと透に声を掛けた。

「へいへい! 今更だけどさ、お前らノイズまで使って一体何がしたい訳?」

 今はとにかく時間が欲しい。
 翼が持ち直すにしろこの場を捨てて退避するにしろ、苦しいのはこちら側だ。少しでも時間を稼いで、この状況を打開する手立てを考える事を第一に颯人はクリス達に声を掛けた。

 それにこれは決してただの時間稼ぎではない。あの2人の行動理由が気になると言うのは紛れもない事実でもある。もしこの質問に対する答えが得られればそれはそれで御の字、仮に無視されてもそこから話を繋げて時間稼ぎは出来る。
 颯人はそれを狙っていた。

「んん? 本当に今更だな?」
「状況が状況だったんでね。それで?」

 颯人の問い掛けにクリスはボウガンを肩に担ぎながら思案し、数秒ほど考えてから口を開いた。

 尚その間、透の方は片時も油断した様子を見せずに4人の動きを注視し警戒していた。

「いいぜ、答えてやるよ。あたしらの目的はな、そこの女を連れてくることなんだ」
「どの女よ、3人居るんだけど?」
「だぁぁっ!? もう、そこの一番小さい奴だよッ!?」
「一番小さい? あ、翼ちゃんか!」

 クリスの言葉に周囲を見渡し、翼の姿を目に入れた颯人はポンと手を叩いて合点がいったと言う様に頷いた。

 その言葉に翼は即行食い付いた。

「ちょっと待ってくださいッ!? その言葉は聞き捨てなりませんッ!? 私のどこが小さいと言うのですかッ!?」
「だってこの場に居る中じゃ
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