暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第19話:危険な演奏会
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しめられた拳がメイジに迫るが、メイジはそれを左手に持った方の剣だけで弾いてしまった。
 力は籠っていた、フォームも悪くはない。しかし、覚悟が固まっていなかったのだ。理由はただ一つ、相手がノイズではなく人間だから。
 先程は自分が不甲斐ない所為で翼だけに負担をかけ、結果何も出来ずに翼を窮地に立たせてしまった。故に今度は3人について行こうと戦いに参加したのだが、やはり人間相手だとどうしてもまだ覚悟が決まり切らなかったのだ。

 その事を颯人は責める気はない。仕方のない事だし、彼女の性格を考えればこうなる事は簡単に予想できた。
 だからこそ彼はまず自分が攻め、相手に隙を作らせて響がやり易い状況を整えたつもりだったのだが、この程度ではメイジには通用しなかったらしい。

「うあっ?!」
「隙ありッ!」

 だが響の行動は決して無駄ではなかった。メイジが響に気を取られた瞬間、僅かにだがウィザーソードガンを押さえている力が緩んだ。
 それを見逃さず颯人は軸をズラし、メイジの懐に入り込むと刃を叩き込む。

 残念なことにこの攻撃は凌がれてしまい、相手の胴体を浅く切り裂く程度で大したダメージは与えられなかった。
 だがここで嬉しい事態になる。颯人から距離を取ろうとしたのか、後方に跳躍したメイジが偶然にもクリスと背中合わせの形になったのだ。

「ッ!?」
「透ッ!?」

 クリスにとってもこの形になるのは想定外だったのか、密着する形で背後に立ったメイジ──クリス曰く透──の存在に意識をそちらに向けてしまう。

 それを見た瞬間、颯人達は素早く行動を起こした。

「行け響ちゃんッ!!」
「翼もだッ!!」
「は、はいっ!」
「あぁっ!」

 颯人と奏の声を合図に、響と翼が背中合わせになった2人に突撃する。
 一方、颯人はウィザーソードガンをガンモードにして構え、奏もアームドギアを何時でも投擲できるように構えていた。

 今の透とクリスは一見すると互いに背後を守り合っているように見えるが、その実颯人達に追い詰められていた。
 何しろ背後に下がることは出来ず、動ける方向は前と横しかない。そして数の上で不利である現状、四方からの集中攻撃を避ける為には必然的に2人は左右どちらかに動かなければならなかった。それも2人で左右別々に、だ。同じ方向に動いても状況は何も変わらない。
 だがそれをすると当然相方の背中を無防備にしてしまう。

 つまりこの時点で2人は、互いに下がれない状況で4人からの集中攻撃を受けるか危険を覚悟で左右別方向に逃れて包囲を脱するしかないのである。

 それを見越して、颯人と奏はその場に残り響と翼だけを攻撃に向かわせた。2人の攻撃を受け止める様なら颯人達も攻撃に参加すればいいし、どちらかあるいは両方が
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