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おぢばにおかえり
第五十七話 卒業式その十七

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「そんな人間の近くにいるべきじゃないですね」
「それはね、被害受けるだけだし」
「それで相手は悪事揉み消しますからね」
「というか問題にならない方が不思議でしょ」
 そこまでの暴力がです。
「そもそも」
「そう思うのが普通なんですがね」
「奈良県の学校じゃまかり通ってるのね」
「こんなことが問題にならないですから」
 阿波野君はこうも言いました。
「多分奈良県の学校はどんどん酷くなりますよ」
「問題にすべきことが問題にならないなら」
「はい、本当に」
 阿波野君の表情は暗いです、普段とは違う表情です。
「腐っていきますからね」
「それで天理高校に来たの?」
 聞けば普通のサラリーマンのお家の子なのにです。
「奈良県にいることもあって」
「そこまで考えてなかったですけれどね」
「偏差値が同じだったから」
「ですがこの学校にそんな先生がいないなら」 
 普通はいないと思います、そんなヤクザ屋さんみたいな先生は。
「いいですね」
「じゃあ部活に入るの?」
「それは入らないですけれど」
「結局そうするのね」
「もう考えが決まってますから」
 だからだというのです。
「学校の楽しみ方は部活だけじゃないですから」
「もう部活には入らないの」
「それでようぼくやひのきしんをしています」
「それはそれで楽しいのね」
「はい、というか僕本当に酷いの観ましたからね」
 その暴力をというのです。
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