第百二十三話 台風の中へその十二
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「僕等も寝んとな」
「そしてそのうえでな」
「戦も頑張ろうな」
「絶対にな」
こうした話もしつつだった、志賀達もまた戦を前にそれぞれの時を過ごしていた。だが緊張はあり。
北原は寝る前にふと自分のところに来た坂口と室生にこう言った。
「おいどんはこの戦に全てを賭けているでごわすよ」
「いきなり正念場だがや」
坂口も真剣な顔で応える。
「だからだぎゃな」
「そうでごわす、まことに」
北原は坂口に応えてさらに言った。
「南洋は強かでごわすからな」
「兵力は彼等の方が上だ」
室生は腕を組んで言い切った。
「こちらは六十万だが」
「敵は四百万でごわす」
「装備の質は我々が有利でもだ」
「六倍半以上の兵力差は違い過ぎるでごわす」
「その敵に勝とうと思えばな」
「やはり尋常でないでごわす」
まさにと言うのだった。
「苦労は相当でごわす」
「そうだがや、それを考えると」
坂口は北原が出してくれた茶を頷いて礼を見せた時点でさらに話した。
「この戦正念場だがや」
「いきなりな、もっと言えばだ」
室生は坂口にさらに言った。
「我々の正念場はこれだけではない」
「次もその次もまたその次もだぎゃ」
「中国、アメリカ。中南米とアフリカの連合にだ」
「地下世界に北極上空だがや」
「どの勢力も我々より戦力は上だ」
室生は真剣な声で言い切った。
「その敵にどうして戦ってだ」
「勝つか。だがや」
「それを考えるとな」
「正念場続きだがや」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「我々が置かれている状況は非常に厳しい」
「嫌な現実だがや」
「全くだな」
「そして最初からでごわす」
北原がまた言ってきた。
「正念場でごわす」
「それだがや」
「そこをどうするか」
まさにというのだ。
「いきなり辛いでごわす」
「それだがや、しかし」
坂口はまた茶を一口飲んで言った。
「一つ大事なことがあるだがや」
「おいどん達にとってでごわすな」
「そうだがや、人が多いだがや」
「星のモンば確かにでごわすな」
「だからだがや」
「おいどん達はでごわす」
「まず戦うことだがや」
「兵力での戦は負ける」
室生は断言した。
「絶対にな」
「そうなるでごわすから」
「私達がだな」
「戦ってごわす」
「兵力の劣勢を覆すな」
「芥川の策通りに動けば」
それでとだ、今言ったのは坂口だった。
「わし等は勝てるだがや」
「その通りだ、私から見てもだ」
室生は今度は確信を以て言った。
「勝つのは日本だ」
「そうだがや」
「だからだ」
それでというのだ。
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