第百二十三話 台風の中へその十一
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「僕等はな」
「そうでしたん」
「こっちの馬小屋とかは大丈夫やな」
「はい、麻里佳さんや房江ちゃんに頑張ってもらいました」
「それは何よりやな」
「それで今は」
「牛馬を舎に入れたんやな」
そこは志賀にもわかった。
「そやな」
「そうです」
実際にという返事だった。
「今それが終わりました」
「それは何よりやな」
「それとです」
美奈代は志賀にさらに話した。
「もう一つあります」
「もう一つ?」
「軍馬とかも」
彼等もというのだ。
「ちゃんと舎に入れました」
「そっちもしたんやな」
「後犬達も」
彼等についてもそうしたというのだ。
「そうしましたから」
「抜かしなりな」
「こと家畜のことは」
「任せろっていうんやな」
「そう言いたいですし実際に言う様に」
美奈代は志賀に強い声で言葉を返した。
「頑張っています」
「それはええことやな」
「それでもう」
「ちゃんとやな」
「全部小屋の中に入れたんで」
それでというのだ。
「安心してええです、それでうちは後は」
「戦がはじまるまでか」
「ちょっと休みます」
こう言うのだった。
「今まで働いていましたし」
「寝るんか」
「はい、自分の部屋で」
こう志賀に答えた。
「そういうことで」
「人も寝んとな」
志賀は美奈代のその言葉を聞いて腕を組みしみじみと聞いた声を出した。
「あかんしな」
「ほんまにそうですよね」
「そや、ほんまにな」
実際にとだ、志賀はさらに言った。
「早寝早起きも大事やが」
「そもそもですね」
「寝んとな」
とにかくというのだ。
「あかんわ」
「そうですね」
「畑仕事なんかとても出来ん」
「そこでそう言いますか」
「農民やからな」
志賀は自分の職業の話もした。
「そやからな」
「じっくり寝てですか」
「頭も身体も休めてな」
そうしてというのだ。
「また明日頑張る」
「そうせなあかんから」
「そや」
それでというのだ。
「人間は寝んとな」
「あきませんか」
「絶対にな、ほな僕もな」
「寝ますか」
「戦までな」
「やっぱり人は寝んとな」
「それは事実やな」
亜紀と麻里佳もそこは同意見だった。
「肉体労働は特に辛いわ」
「起きてるだけで身体疲れるしな」
「そや、それでや」
志賀はさらに言った。
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