第百二十三話 台風の中へその十
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「すぐに壊れるわ」
「建物はやな」
「そや、そやからな」
それでというのだ。
「ちゃんとな」
「戦の後もやな」
「建物ちゃんと修繕するわ」
「そうするんやな」
「そう、そして」
麻里佳は志賀にさらに話した。
「今もな」
「ちゃんと建てたんやな」
「そやで」
「それ言うと僕もな」
志賀は自分から話した。
「田畑はな」
「台風来るからやな」
「そっちの備えしたわ」
「自分そっち担当やしな」
「職業的にな」
志賀の職業は農民だ、だから日本の内政では農業を担当しているが今も蓬莱の農業を担当しているから言うのだ。
「それで田畑のことはな」
「ちゃんとしたんやな」
「そや、これでや」
志賀は麻里佳にさらに話した。
「大丈夫や」
「それは何よりやな」
「間違っても溝には行かんことや」
「台風の中に入ってもやな」
「台風の時はどうしてもな」
志賀は自分が起きた時の世界でのことも話した。
「田んぼが気になるやろ」
「それはそやね」
実際にとだ、亜紀が柔らかい口調で応えた。
「どうしても」
「けどな」
「そうした時でもやね」
「田んぼはお百姓さんの命や」
何といってもという口調での言葉だった。
「そやから気になるのも当然やが」
「それでも台風の時は」
「僕は奈良におる時にあるお爺さんに言われた」
「そうした時こそやね」
「絶対に田んぼを見に行ったらあかん」
そうしたことをしてはならないというのだ。
「溝に足入れて草とかで詰まってるのなおそうとすることはな」
「足を激流に取られて」
「それで死ぬ元やからな」
だからだというのだ。
「元総理でもない限りしたらあかんってな」
「元総理っていうと」
「あの鳥みたいな名前した元学者のおっさんや」
「ああ、あの人やね」
亜紀はそれで誰かわかった、それで志賀の言葉にも頷いた。
「今も外国に行って余計なことばかり言うてる」
「ああした奴でもないとな」
「台風の時田んぼ見に行ったらあかんのやね」
「命は粗末にするなとも言われた」
その老人にというのだ。
「そこまでな。あとそいつの次の総理大臣も見に行ってええって言うてた」
「わかりやすい例えやね」
「まあそうした時はな」
「見に行くのはどうにもならん屑でええんやね
「その爺さんの言葉やとな」
「あれっ、志賀さん達ですか?」
三人は今は牛馬の舎の傍にいる、農業に使う牛馬達の場所だ。そこにいる美奈代が志賀達を見て言ってきたのだ。
「どないしました?」
「いや、建物が台風でも大丈夫かな」
「点検してましたん」
「そや」
その通りだとだ、志賀は美奈代に答えた。
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