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夢幻水滸伝
第百二十三話 台風の中へその七

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「どうも自分はな」
「乙女って言うのかしら」
「そう思ったな、心から」
「そうなのね」
「ストリートギャングも乙女ってことか」
「褒めてるの?それ」
「そのつもりだけれどな、駄目か?」
 有島は限あ顔になった雪路に問い返した。
「こう言ったら」
「駄目じゃないけれど恥ずかしかとよ」
 それでどうにもと言う雪路だった、その表情は文字通り恥じらう少女のものだった。こうした状況で稽古を続けていた。
 日本の星の者達は緊張はしていても固くなっておらずリラックスしていた。それは田中も同じで蓬莱の中の建物の確認をしてからだった。鍛冶仕事を終えた若山と大工仕事を終わらせた房江と三人でお茶を飲みつつ話をした。
「いや、もうすぐ大きな戦やけど」
「これといってな」
「緊張してへんな」
 若山と房江は田中に笑って応えた、三人共今はくつろいで田中の部屋に集まって茶と羊羹や最中を楽しんでいる。
「兵達もな」
「明るいもんや」
「戦慣れしてるか」
 田中は考える顔でこうも言った。
「それでか」
「あと雰囲気やろな」
 若山は羊羹を食べつつ述べた。
「この蓬莱の」
「明るいからか」
「それで訓練はよおしてるけれど」
 それでもというのだ。
「軍務を離れるとお酒はないにしても」
「くつろがせてるからか」
「美味いもの用意して遊びも許して」
「遊ぶ場所も多いしな」
 房江は明るく笑って話した。
「賭けごとはあかんにしてもこうしたのも楽しんでええし」
「花札か」
 田中は房江が出したそれを見て述べた。
「そういえば自分それ好きやな」
「今からやらへんか?」
 房江は田中に笑って応えた。
「三人で」
「銭は賭けへんでな」
「それでやな」
「やってみるか」
「ほなな」
「花札な」
 若山はお茶を一口飲んでから言った。
「そういえばわし最近やってへんわ」
「トランプかい?」
「札遊びではな」
 そちらを楽しんでいるというのだ。
「実際にな」
「そっちかいな」
「最近はな」
「まあそっちもええけどな」
 房江はそれも悪いとは言わなかった、トランプの方も。
「色々な遊び方あるしな」
「特にブラックジャックをやってるわ」
「そっちやね」
「部下達とやってるわ」
「そうやねんな、けどな」
「たまにはやな」
「こっちもええやろ」
 花札もというのだ。
「それでや」
「今からやるか」
「こうした遊びもしてると」
「兵の士気も上がるな」
「いつも緊張してたら」
 それこそとだ、房江はさらに話した。
「疲れてな」
「それでやな」
 田中は最中を食べつつ言った、最中の中には粒あんだけでなく餅も入っていて独特の美味さがある。
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