後編
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男バージョンなのではない。
本当に別人なのだ。
それでも「みんなを守る為に生きたい」というところは共感できた。
彼も月光館学園に来て、みんなと出会って、変わってきているのだ。
「なんだか私とは違うんだね。でも、言ってることはわかるよ。」
これまでもやもやとしてたものが急にすっきりした気がする。
自分の現実では自分のできることをする・・・彼の言葉が胸にしみこんできた。
別人だけど、根っこは案外似ているのかもしれない。
「じゃあ、これを乗り切って自分の現実に帰らないとね。」
私が声をかけると、彼が ふっ と口元に笑みを浮かべて言った。
「行こうか。」
「OK!」
二人で牢獄の主に駆け寄る。
それにつれて主がゆっくり身を起こす。
いや身を起こすという表現は正しくない。体が膨れ上がったというべきか。
その姿は、大きさの異なる無数の青黒い球の塊。
体から更に次々と新たな球が膨れて巨大化し、3メートルほどの高さで止まった。
その球の一つ一つに目のようなものが一つずつ赤く光っている。
【汝ら、我にはむかうか。】
頭に直接、声が響いてきた。
【我はオイジュス、苦悩の神である。汝らが勝てる相手ではないぞ。】
威圧的な重々しい声に、恐怖心が湧き上がってくる。
私はひるむ心に鞭を打ち、声を張り上げた。
「なんで私たちをこんなところに連れてきたの。あなたの目的は何?」
【人間は滅びを望んでいる。その望みをかなえるため、まもなく大いなる夜の神が降臨する。神の降臨とともに人間は安らかな終焉を迎えるであろう。そして人間は生きる苦悩から解放されるのだ。
しかしそれに抗おうとする愚かな人間もいる。その人間たちに誤った道を示し、力を与えるのがお前たちだ。お前たちをこの牢獄に隔離することで、人間は速やかな終焉を迎えることができる。おとなしくここで朽ち果てるがいい。】
「何よそれ。そんなわけのわからない理屈で滅ぼされちゃたまんないわ。神様なら人の生きる希望になりなさいよ。」
怒りが体に力を与えてくれる。
恐怖が消え去り、代わりに闘志が燃え上がってきた。
【理解できないのであれば仕方ない。この場ですりつぶすのみ。】
「ゴマじゃあるまいし、すりつぶされてたまるか!・・・ほら、あんたもなんか言ってやんなさよ。」
私が振り向いていうと、彼が少しあきれたようにこちらを見た。
「そっちの順平も大変だ。ゆかりとは気が合いそうだけど。」
「ほんとにクールだね。たぶん、あんたは ゆかりの好みのタイプだと思う。私は遠慮するけれど。」
「そりゃどーも。行くよ。」
「せーの」
『ペルソナ!』
エリザベスのペルソナカードを手に、二人の声がハモる。
きらめきとともに巨大な神が現れた。
今の私たちではとても召喚できないはずの最高神 ヴィシュヌ。
彼
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