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ペルソナ3 夢幻の鏡像
前編
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夢を見た。

特別課外活動部のメンバーが、タルタロスを探索している夢だ。
影時間にのみ現れる迷宮の塔タルタロス。その構造は、入るたびに変化して人を惑わす。
この迷宮の主はシャドウだ。人の精神が暴走して生まれる異形の怪物。
タルタロスには、この怪物が無数に巣食っている。
迷宮内に徘徊するシャドウをかわし、時に戦い、内部を探索して塔の上を目指す。
全てのシャドウを駆逐し、影時間を消すために・・・。

しかしそこに私自身の姿は無かった。
メンバーを指揮しているのは見慣れぬ男性だ。月光館高校の制服に、首から携帯用ヘッドホンを下げている。右目が隠れんばかりに前髪が長い。それほど長身ではないが、細身でフィギュアスケーターのように動きが軽やかだ。あまり表情を出す方ではなく、言葉数も少ない。冷静でクールな印象。
彼は私がいるべき場所で、私の代わりにゆかりや順平、真田先輩と言葉を交わし探索を進めている。

それは、見覚えのない階層でのこと。新手のシャドウに不意打ちされた。
まるでどこか別の空間からその場所に突然出現したかのような、唐突な現れ方だった。
見るからに奇怪な姿。ねじ曲がったパイプの集合体のような体。手足が蛇の塊のようにうねっている。身体の中央に巨大な仮面。
シャドウの氷結攻撃に順平が転倒。真田先輩も膝をつく。ピンチだ。
ゆかりが前に出て二人をかばう。
「ペルソナ!」
名も知らぬ前髪の男性が、召喚器を頭部にあてペルソナを呼び出した。
電撃攻撃。
しかし相手にダメージはない。
彼はシャドウの注意を引き付けるように移動しながら、次々とペルソナを入れ替えて攻撃を続ける。

疾風攻撃、火炎攻撃・・・

彼は複数のペルソナを使いこなす。・・・私と同じ。
彼は誰なのか。なぜ私はそこにいないのか。

わからないまま夢から覚めた。不思議なほど鮮明な夢だった。夢だと気づいてからも、実際に自分がその場で見てきたような現実感がつきまとっていた。

夢は夢だ。気にしても仕方がない。
しかし、その日1日どうしても彼のことが頭から離れなかった。何か意味のある夢だったのだろうか。なぜ、彼は私の代わりにそこにいたのか。いったい私はどうなってしまったというの?
なんだか自分の存在が危うくなるような、現実が崩れるような落ち着かない気分になる。
私がここにいることが間違いだとでも言われたような気がした。

学校帰りに思い切ってテオドアに相談してみた。
現実ではない夢の話を相談するならば、彼ほど適した人もいないだろう。
「現実は一つではありません。」
私の話を聞いたテオドアは、いつも通りおだやかな微笑みを浮かべながら静かに言った。
青い制服を身に着けた長身で銀髪の美青年。夢と現実・精神と物質の狭間にあるという、この非現実な部屋、
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