其の弐 蛇を宿した女
第十七話 嘆く
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依代に宿った記憶が終わり、視界が元に戻る。
いつも通りの図書室の奥の部屋が、元宮の目には映っていた。
「……これで、シオンは消滅した」
四番目からの宣告に、元宮は膝から崩れ落ちて泣き叫んだ。
本当ならまた噂改変することでシオンを生かそうとしたのに、四番目はそれよりも前に依代を破壊してしまった。
『???でも、わたしは……本当は生きていたかった』
シオンは確かに言っていた。だから図書室までの廊下を駆け、止めに向かったのだから。
生かしておいてほしかった。
心優しい一人の可哀想な異形の女性として、幸せに生きてほしかった。
???だが、もうそれは叶わない。
もう、彼女が此岸へ戻ってくることはない。
もう、生き返ってくることはない。
「これが普通だ。噂を改変する方がおかしいんだ……諦めろ、少年」
「……怪異って、もう一度怪異となって生き返れたりしますよね? ……ねえ!!」
「無理だ。だから、諦めろと言っている」
「これが、彼女にとっての最善策だったんだ」とぽつりと呟くと、四番目は窓枠に腰を掛け、小さく縮こまってしまう。
その様子を見て、異常を覚えた元宮が心配して近寄ろうとするが、そこまでの余裕がなくて。
彼自身も止まらない涙を必死に拭いながら、その場に座り込んでしまう。
行き場をなくした感情が、二人の中で渦巻く。
本当に正しかったのか、他に方法はあったんじゃないか。そんな、どうしようもない考えと共に。
「シオンさん……最期に『生きていたかった』って、そう言ってたのに……なんで、なんでぇ……!」
「…………そんなに言うのであれば、叶えてやろう」
「え……?」
「仕方ない、叶えてやろう。その代わり……代償は、それなりに払ってもらうからな」
いきなり立ち上がったと思えば、四番目はどこかへ消え去ってしまう。
元宮はどこへ行ったのかと動揺するが、数秒もすれば彼女は戻ってくる。
手に、血が入ったアンプルを持ちながら。
元宮に近付くと、四番目はその蓋を開け口に突っ込む。
いきなりのことに反応出来ず、また不味い血の味に咽せそうになるが、どうにか堪え飲み干す。
「代償は君の体だ。せいぜい、死なないようにな」
???ドクン、と一際大きく心臓が鼓動する。
その途端、元宮の体に身を裂くほどの痛みが駆け巡った。
「あ゛あぁッ????」
「耐えろ。飲ませたのはシオンの血だ。此岸にある君の体と彼岸にあるシオンの魂を繋ぐ。そして、君の体を依代に……って、ああ。聞こえていないか」
四番目は手を後ろに組みながら、元宮の周りを歩く。じっ
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