第8章:拓かれる可能性
第233話「まだ、終わらない」
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望するしかなかった。
「見つけたぞ」
「……っ……」
〈マスター!逃げてください!マスター!!〉
そこへ、追手の“天使”がやってくる。
一瞬にして包囲され、結界も張られた。
特殊な結界なのか、エアが解析出来た範囲だけでも、帝の宝具などでは逃げられない事が分かった。
「ぁ……」
「ッ……マスター!!」
咄嗟に、エアが人型を取り、帝を庇うように立つ。
だが、到底エアに“天使”達の攻撃は防げない。
「ちまちま逃げ回っていたが……終わりだ!」
「っ……!」
それでも、エアは主と共にいようと、そこから動かない。
そのまま、容赦なく“天使”による理力の剣を振り下ろされ……
「……え……?」
“ギィイイイン”という甲高い音と共に、その剣は撃ち抜かれたように吹き飛ぶ。
同時に、帝を包囲していた“天使”達に理力の剣が刺さっていた。
結界も完全に割られている。
「それ以上、やらせはしないよ」
「なん、で……?」
降り立った拍子に、割り込んだ人物の黒髪が舞い上がる。
手に持つのは、見覚えのあるデバイス……フュールング・リヒト。
帝は、その人物が誰か知っていた。
知っていたからこそ、ここにいる事が信じられなかった。
「導きの光は途絶えず、可能性もまた潰えていない。……私が、まだここにいる」
「お前、は……!?」
「飛ばした矢を見送った。それが貴方達の失敗よ!」
刹那、理力が放たれて包囲していた“天使”が吹き飛んだ。
そこで、ようやくその少女が帝に振り返った。
「……久しぶりね、帝」
「優、奈……?」
「貴女は……なぜここに……!?」
状況が呑み込めない帝の代わりに、エアが問う。
帝にとって、少女……優奈は優輝の親戚なだけの“一般人”だ。
本来なら、神界にいるはずがない。
「私は、優輝が忘れていたモノを代わりに持ち続けていた“可能性の半身”に過ぎない。その役割も終わって、今は優輝の代わりに可能性を繋いでいるだけ」
「どういう……!?」
「それよりも、今はここを切り抜けるのが先よ」
一度“天使”達を吹き飛ばしたとはいえ、包囲されているのには変わりない。
優奈は帝の手を取り、立ち上がらせる。
「リヒト、もう少しだけ頑張れる?」
〈……はい!〉
「ありがとう。……じゃあ、お願い」
―――“導きを差し伸べし、救済の光”
リヒトが輝き、その光が帝とエアを包む。
宝具による“格”の昇華を二人に適用させたのだ。
「これで反撃できるわ」
「あ、ああ……ありがとう…
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