第8章:拓かれる可能性
第233話「まだ、終わらない」
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してきた“天使”の一撃を、帝がエアで受け止める。
だが、その上から弾き飛ばされてしまう。
「くそっ……!」
「っ、しまった。また逃げられるか……!」
吹き飛ばされたのを利用して、帝は転移系の宝具を王の財宝から使用する。
飛んだ先は、帝にもわからない。だが、すぐ近くに敵はいなかった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
敵に見つかっては、防戦に徹して僅かな隙を見つけて逃走を繰り返す。
最初は抵抗もしていたが……
「(攻撃を当てられないのがきつい……!隙を見つけられない……!)」
途中で、帝の攻撃はすり抜けるようになってしまった。
それも当然だ。その時、ちょうど祈梨が“格”の昇華を止めたのだから。
〈……そろそろ、私にもガタが来ています。このままでは……〉
「んな事、分かってる……!それでも、何とかしないとダメだろ……!」
多少の無理が利くとはいえ、帝では敵わない相手ばかりだ。
それでも生き残れたのは、帝の持つ能力とエアの機能をフル活用したからだ。
王の財宝と無限の剣製により利便性はもちろん、エアの機能が別格だった。
神界の神謹製だった事により、徐々に理力を解析していったのだ。
そのおかげで、防御や気配察知が比較的容易になっていた。
「(“格”の昇華がなくなった……これのせいで、足掻く事も出来ねぇ……!)」
それでも、防戦のみしか出来ないのは帝にとって厳しい。
攻撃して気を逸らす事すら出来ないというのは、生存するにおいて非常にまずい。
故に、先程から帝は捨て身で隙を見つけて逃げているのだ。
「………くそ……!」
〈マスター……〉
「くそ……くそっ……くそっ……!」
……既に、帝の心は折れていた。
たった一人で、決して勝つ事も出来ず、逃げ回る事しか出来ない事に。
その唯一出来る“逃げ回る事”も、相手が油断しているから出来るだけだ。
もう、次かその次には、逃げる事も許されないだろう。
それが分かっているからこそ、帝はもう心が折れていた。
「なんで……なんで、こんな事に……なんで、俺がこんな目に……!」
〈……〉
弱音を吐く帝に、エアは何も言えない。
帝は、“踏み台転生者”のように振る舞っていた事以外は、一般人に近い。
優輝のような強靭な精神力も、神夜のような思い込みの強い正義感もない。
ただ、自分の思うがままに生きたいという願望があっただけの、一般人だ。
そんな一般人が、これほどまで追い詰められて折れないはずがなかった。
「……くそぅ……!」
先程まで、ギリギリ耐えていたものが決壊した。
もう、帝には動く力も、気力もなかった。
涙を流し、今の状況に絶
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