第8章:拓かれる可能性
第233話「まだ、終わらない」
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
案外平気そうな様子でアリサは聞き返す。
否、内心はどうするべきか思考し続けているのだろう。
アリサ以外のほとんどは険しい顔のままな所から、全員がそうなのだろう。
「『ついさっき、司に“格”の昇華を頼んだわ。これで、こちらの攻撃が通用しないという事態は避けられるはず。……後は……』」
「『地上の救援に行く。……だよね?』」
「『ええ。まだ、終わってない。私達は足掻けるわ』」
一度神界で戦った者は、死んでも死んでない状態や、まだ足掻く事をあり得ないとは思っていない。感覚が麻痺しているのもあるが、慣れているからだ。
しかし、リンディを始めとする行っていない者は戸惑っていた。
「『待ちなさい。こんな事が出来る相手に、まだ足掻けると……?』」
「『“足掻く”のよ。リンディ、ここでは今までの常識を一切合切捨てなさい。私達の“領域”が壊されない限り、私達は戦える』」
「『……そこの博士二人も理解しているみたいだしね』」
唯一、神界に行っていない者の中でグランツとジェイルは理解していた。
頭の回転が早いため、椿の言う事が理屈ではないと見抜いていたのだ。
「『しかし、私達は不向きだね。理論……と呼べるものではないが、それを理解したとはいえ、私達のような者はどうしても理屈などを考えてしまう』」
「『ええ。だから、貴方達は後方でその頭脳を働かせて頂戴』」
「『ふむ、了解した』」
ジェイルはそう言って、グランツに目配せする。
二人はそのまま懐に仕舞っていた端末を取り出し、周囲を分析する。
「『地上に行くのは神界で戦った経験がある者だけにするわ。他は……地上に降りる私達の援護。具体的に言うならアースラを撃墜した神や“天使”からの防衛よ』」
「『……出来るのね?』」
「『“やる”のよ。司の魔法が届き次第、行くわよ』」
しっかりと話し合う必要はない。
ここからは、己の意志を貫く事が重要だからだ。
何より、椿にとって負けた気持ちで挑む事自体が嫌だった。
「(……今度こそ。今度こそ、勝って見せる……!!)」
地上を睨むように見て、椿は己の中の霊力を高める。
そして、そこへあまり多くはない魔力を混ぜ込み、螺旋状に昇華させる。
“霊魔相乗”。魔力量からして効果は高くないが、椿はそれを実行した。
「(あたし達は、もう無力では終われない)」
葵もまた、同じく霊魔相乗を為していた。
魔力も霊力も多い葵は、その効果だけで言えば椿を遥かに超える。
「『……全員、勝つわよ!!』」
言霊と共に、椿は伝心で言い放つ。
同時に、椿の姿が神降しをした時の優輝の姿になる。
椿の神としての力を解放したのだ。
神界では世界
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ