第8章:拓かれる可能性
第233話「まだ、終わらない」
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…。明らかに一回は死んだわ』」
同じように椿もおり、見ればアースラに残っていた半分くらいのメンバーは、アースラの残骸と共に周囲に漂っていた。
「『息はしない方がいいね。ここ、まだ大気圏外だよ』」
「『いずれは重力で落ちるけどね』」
アースラがあったのは宇宙空間だ。
つまり、乗っていた者は全員宇宙空間に投げ出されている。
「『アースラが破壊されたのは分かるんだけど、あたし達の現状から見て……何が起こってるのかな?』」
「『……多分、生死の境が破壊されたんだと思うわ。さっき感じた波動は、おそらくこの世界の法則を書き換える……もしくは歪めるもの……』」
「『幽世の大門を開いた時と同じ……?』」
「『断定はできないけどね』」
椿達もエニグマの箱による“領域”の侵蝕を感じ取っていた。
その矢先にアースラごと撃墜されたのだ。
「『いつまでも隠れられるとは思えないわ。葵、念話で皆を起こして頂戴』」
「『了解!』」
「『私は……司に伝心を試してみるわ』」
再び神々との戦いになるまで、椿達も出来る事はやっていた。
椿が行う伝心もその一つ。
アースラにいた一人一人に術式を施し、いかなる距離や場所であろうと伝心が出来るような、強い“繋がり”を持っていた。
その“繋がり”から、“領域”を共有して強固にする事も意図せず出来ていた。
「『……司、聞こえるかしら?』」
『っ……!椿ちゃん、無事だったの!?』
「『馬鹿ね。何のために私達の“繋がり”を施したのよ。何となく私達が無事な事ぐらい、察せていたでしょ』」
驚く司に椿は呆れたように言う。
“繋がり”を強くした今、互いの状況は何となくわかるようになっている。
椿自身も、他のアースラクルーがまだ生きている事を感じ取っていた。
「『そっちも戦っているのは分かっているわ。感づかれないように聞きなさい』」
『……うん』
「『こっちに、“格”の昇華の魔法を使ってちょうだい。出来そうかどうかは考慮しないで、やりなさい』」
『っ、了解!』
最早後はない。故に失敗は許されない。
だからこそ、やるしかない。
「『かやちゃん!』」
「『……来たわね』」
司との伝心が終わり、葵が再び椿に念話する。
呼びかけた葵の後ろには、近くにいたアリサやすずかなどがいた。
「『状況は分かっているわね?私達はアースラごと撃墜された。でも、死の概念が破壊されたのか、死んでも死んでないわ』」
「『それは分かるけど……この状況からどうするのよ?』」
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