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曇天に哭く修羅
第一部
崩壊
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闇の思惑。

第3ラウンドが始まるや(いな)や第2ラウンドと同じように愚直な攻めで突撃。

紫闇は【魔晄外装】を付けた右腕を主としてひたすら拳を出し続ける。


「もう策は無いか?」


翔の問いに答えず腕を振った。

一歩下がった翔は再び聞く。


(すべ)は無いんだな?」

「これが答えだッ!」


紫闇の左拳は空を切るが翔の方は左ジャブで紫闇の腕を弾いてしまう。


「なら少し強めに行くぞ」


翔の左手が白銀に光った。

閃光が紫闇の顔に直撃して頭部を包み込んでから爆発すると流れるような二発目の左が腹へと着弾して更に銀の魔晄粒子が散る。


まるで黒鋼流の【禍孔雀(かくじゃく)


(こいつも【練氣術】を使えたのは予想外だが江神と同レベルの想定をしてたからな。お陰でまだ踏ん張れるよ)


バックステップで距離を取った翔がオーソドックスなボクシングフォームを構えた。

決めるつもりだろう。

紫闇は翔の初動に対し、僅かに遅れたタイミングで踏み込んでいく。

【打心終天】を使う時が来たのだ。

禍孔雀を発動して右手が金色に。

翔と自身の推進力に禍孔雀が掛け合わさって生まれる絶大の威力のカウンターは普段の禍孔雀と比較して数十倍。

格が一つくらい上の相手なら、決まりさえすれば確実に倒せると言って良い。


(この三ヶ月が報われて終わりだ)


本当に色んなことが有った。


「ん?」

(ちょい待ち。何だその(つら)。急に来た負けに対して普通はそんな顔しないだろ。まさかここまでの展開を読んで───)


タイミングを合わせていた打心終天は今まで以上に速い翔の急加速によって外れる。


「これでも立てるか?」


紫闇が絶望する前に彼の視界は銀の光で埋まり体は浮遊感に包まれた。

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