第一部
崩壊
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
第2ラウンド開始直後。
《立華紫闇》が左手中指の関節を鳴らすと彼の纏う白銀の魔晄防壁が闇色に染まった。
「これがそうか」
《橘花 翔》が警戒していたもの。
《江神春斗》との戦いで見せた鬼。
「もう終わりかと思ったけど」
そう呟いたのは《黒鋼焔》達の所に来て観戦していた《クリス・ネバーエンド》
「どっちの肩を持つわけでも無いんだけどシアンを応援させてもらうわ」
(リベンジしてやりたいしね)
外野のことなど知らない紫闇は吹っ切れたかのように翔へ直進する。
豪快な右フックをフルスイング。
テレフォン全開の大振りパンチ。
当然のように当たらない。
カウンターの左ボディが入る。
翔への強引な攻めに意味は無い。
第1ラウンドで思い知らされたはず。
なのに紫闇は止めなかった。
ひたすら前へ出て攻撃を行う。
その全てを回避されている。
勿論カウンター付きで。
しかし一部の者は気付いていた。
紫闇はやけになったのではない。
相手を自が術中に落とす。
そういう目をしている。
血に染まっていく彼が倒れ込む。
この試合で初めてのダウン。
しかしテンカウントが終わる直前に脚を震わせながら立ち上がって見せた。
「立華紫闇は心身共に頑強だな。よほど気合いを入れて鍛えてきたと見える」
《江神全司》は納得。
これだけタフなら耐えられると。
「才能が有る奴でも壊れるような鍛練を乗り越えてきてますからね。短期間であそこまで成長した彼は自慢の弟子ですよ」
《永遠レイア》は劣勢に立たされている紫闇のことを誇らしく思っていた。
「小僧は黒鋼の技を使うが黒鋼ではない。じゃが儂等の意思は心の底まで刻み込んであるからのう。黒鋼は諦めが悪いぞ?」
《黒鋼弥以覇》は目を細める。
「勝負はこれからさ」
焔は不気味に微笑んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
第2ラウンド後のインターバル。
紫闇は満身創痍の体。
そんなふりをしていた。
「あ〜痛ぇ。マジでキツいわ〜。でも橘花は江神と同じで響かねぇんだよなぁ。クッソつまらなくてどうしよう」
黒鋼と同じく好戦的で力と強さを欲する鬼のスイッチを入れた彼は『勝ちたい』のと同じくらい『楽しみたい』という思いを持つ。
今は医者に体を確認されている。
動けるのは奇跡と言われる程に痛め付けられた彼のことを誰もが第3ラウンドでKOされると思っているだろう。
それこそ紫
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ