愛を唄う花と雪(バレンタインデー特別編)
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ですか?」
「いや、別にそういうわけじゃ……って、ちょっと!何でそこで翔の名前が出て来るのよ!」
詩織にまで誘導尋問で弄られながら、響は時計を見る。
「それで、その先輩ってのはいつ来るの?」
「もうそろそろ来てもいいと思うんだけど……」
ちょうどその時、玄関のチャイムが鳴る。
「お、噂をすれば……ですわね」
詩織が玄関へと向かう。
「ごめん……。家に、忘れ物しちゃって、戻ったら、遅れちゃった」
「大丈夫ですよ。皆集まったところですし……そうそう、実は友達がもう一人来て──」
玄関からやって来たその人物に、響は目を見開いた。
「あ……あんたは!!」
「え?……ああ!さっき、デパートで会った……」
「え?なになに?ビッキー、きねクリ先輩の知り合いなの!?」
そこに居たのはつい先程、チョコレート売り場で出会った銀髪の少女であった。
「じゃあ、改めて。わたしは、雪音クリス。クリスでいい。よろしく」
「わたしは立花響。よろしく……」
「立花さんの事は、詩織ちゃん達から、よく聞いてるよ」
「へぇ……そうなんだ……」
(歳下だと思ってたんだけど……まさかリディアンの二年生、わたし達の先輩とは……)
響はクリスの姿を、頭のアホ毛から爪先の先までじっくりと凝視する。
「そ、そんなに、じっくり見ないで……。恥ずかしい、から……」
「ん?ああ、ごめん……」
クリスから視線を外すと、弓美がニヤニヤと笑っていた。
「なにニヤニヤしてんのよ」
「いや〜、初めて会った子は皆、アンタと同じ反応するから可笑しくってw」
「弓美ちゃんは、ガトーショコラ、要らないって事で、いいんだね?」
「ええっ!?クリス先輩、そりゃないですよ〜!」
「わたしの身長の話は、もっと慎重にしてよね」
ふふん、と鼻を鳴らすクリス。
しかし響はあまりにも唐突なそれに、一瞬固まっていた。
「……えーっと、今のは……?」
「あー、今のは『身長』と『慎重』を掛けたダジャレでね〜」
「もうっ!創世ちゃん、解説しないでって、言ってるじゃん!」
「ね?クリス先輩、面白い人でしょ?」
「うーん……うん?」
「さあ!自己紹介も終わりましたし、そろそろ始めませんか?」
人数は一人多いものの、気づけば響の周囲は、いつものリディアンと変わらない空気になっていた。
友人達が笑い合い、その輪の中に自分がいる。それは、これまでずっと遠ざけ続けていた世界で、今となっては彼女にとっての尊い日常の一部なのだ。
こうして乙女五人による、賑やかなお菓子作りが始まった。
クッキーの型抜きを早々に終え、焼き上がるまでの間にガトーショコラを作ってしまおう。
クリ
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