愛を唄う花と雪(バレンタインデー特別編)
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
さが伺えた。
お嬢様育ち、とでも言うのだろうか?
貞淑で気品のある雰囲気を感じながら、響はそう考えていた。
「わたしも考え事してたから……。あ、先に取ってもいいよ」
「っ!ありがとう……」
そう言って、少女は湯煎チョコを手に取り、買い物かごへと入れた。
響も自分の分を取って……少女の買い物かごの中身を一瞥する。
かごの中には、今手にしたばかりの湯煎チョコ、薄力粉、卵のパック、生クリーム、グラニュー糖……。どうやらガトーショコラを作ろうとしているようだ。
(ガトーショコラか……。二人で食べるには丁度いいかも……)
「じゃ、わたしはこれで」
響はそう言うとレジの方へと足を向け、少女と別れた。
歩きながら、チョコレートケーキの材料をスマホで調べる。
卵も薄力粉も、確か家にあったはずだ。足りない材料はなんだったか……。
ふと、響は何かを思い出したように足を止める。
「そういや弓美達、皆で集まってチョコ作る……とか言ってたっけ」
響は弓美の番号に電話する。コール音が二回ほど鳴ったタイミングで、彼女は通話に出た。
『もしもし響?』
「弓美、確か今日、詩織の家に集まってるんだっけ?」
『そうだけど……あ!もしかして、来る気になったとか?』
「べっ!別に気が変わったとか、そういうわけじゃなくて!ただ、その……わ、わたしが食べたいだけだから!」
『はいはい、お約束のツンデレご馳走様』
呆れたような、それでいて面白がっているような声で、弓美は響のツンデレを軽くあしらう。
『それで、材料は?』
「チョコは買った。ガトーショコラにしたくてさ。薄力粉とか卵はそっちにもあるよね?」
『へー、響もガトーショコラかぁ』
「ん?わたしもって、どういうこと?」
『実は、お菓子作りを教えに来てくれる先輩も、ガトーショコラ焼くんだって。あたしらは普通のチョコレートとクッキーなんだけど、折角だから教えてもらおうかと思ってるんだけど……』
丁度いいタイミングだった。
作ろうと決めはしたものの、お菓子作りなど初めての挑戦だ。
教えてもらえるのであれば、不安がることはない。
響はその話に乗っかる事にした。
「じゃあ、今からそっち向かうから」
『オッケー。先輩もまだ来てないし、まだ余裕で間に合うと思うよ〜』
「わかった。じゃあ、後で」
「──それにしても、まさかビッキーが来てくれるなんてね」
「あんなに『くっだらない』って言ってたクセに〜」
詩織の家に集まった弓美と創世に、響は案の定弄られていた。
エプロンを着ながら、響はそっぽを向く。
「べっ、別にいいじゃん……。ちょっとガトーショコラ食べたいかもな〜って思っただけだし……」
「翔さんの好物なん
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ