其の壱 四番目の鬼神様
第八話 愛の桜
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「???ねえ、朔楽ちゃん。こんな噂、知ってる?」
???昔々、学校が出来るよりも前のこと、ここは戦場だった。
その戦争の中で、とある兵士が軍医に恋をしたらしい。
だが、当然のように、彼は死んでしまった。その後を追い、彼女も首を切って死んでしまった。
切られてしまった運命を再度戻すかのように、赤い糸を自らの小指と兵士の小指に巻きつけてから。
今でも二人はその場所で幸せにしているらしい。
桜の元で結ばれた二人の愛を糧に、生きながら???
「ああ、知ってる! 『愛の桜』って噂でしょ。でも、ちょっと違くない?」
「本当はこうなんだって! 僕もびっくりしたよ」
さあ、幸せになってね。“ヒロト”さん、“アイカ”さん。
桜の木の下にやってきた男女を見ながら、ヒロトとアイカはお互いの顔を見合わせながら手を繋ぐ。
もう離さない。もう離れない。そういう気持ちを込めて。
これからはこの木の下で告白をした男女の、純粋な愛をもとに生きていく。
「これから……もっともっと、幸せになろう。アイカ」
「はい……ヒロトさん」
「噂を変えただけじゃあ長続きしない。また、噂を変えてしまえばいいのだから」
図書室の奥の部屋で、ぽつりと彼女は呟いた。
「だとしても、よく思い付いたねえ。今日のところは見逃してやろう。なあ?」
そして、彼女は振り返り、そこにいる九人の怪異を見た。
「七不思議を名乗る調子に乗った雑魚怪異……『愛の桜』」
???我らが本当の七不思議だ。
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