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ようこそ、我ら怪異の住む学園へ
其の壱 四番目の鬼神様
第七話 救う

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 四番目が去った後の桜の下。元宮の頭に、声が響いた。
 それは、恐ろしい老婆の声で、まるで仕組んだようなタイミングだった。

 その声を聞いて、怪異というものを知ることで……やめておけ、と言わんばかりのタイミング。


「……あの、僕は貴方達を救いたい、と……思うのですが」

『お願いします、お願いします?? どうか、助けて……??』
『先程は申し訳御座いませんでした?? ……だから……どうか、どうか??』

「はい……」


 だが、方法が思いつかない。怪異である四番目ですら……いや、あれは単純に退治したいだけか。
 どうしよう、どうしようと、何度も何度も元宮は自問自答を繰り返す。


「……噂、あるじゃないですか」
『『はい????』』


 ぐいっと顔を近づけ、元宮の話を聞こうとする二人。
 だが、急に近づけてくるものだから、元宮は驚いて一歩後ろに下がる。


「近っ……噂って、怪異の存在にどう関係があるんですか?」

『噂、ですか……簡単に言えば、私達怪異の存在を証明するものです。

 怪異はそれぞれに噂があって、噂があるから姿が見えない者にも私達は知ってもらえるんです。
 そして、知っている人がいるから存在する。

 噂を知っている人が多ければ多いほど、怪異は強くなります。だから、力の源とも言えますよね。
 私達七不思議は、噂を知っている人が多いから強大な力を持っていて、だから七不思議なのです』


 女の言葉を聞いて、再度頭を悩ませる元宮。
 どうすればこの二人の怪異を生かせるのか、そもそも悪さをせず生かす手段はあるのか。

 暫くの沈黙の後、辿り着いた答えは、


「……そもそも、悪さをしなければいいんじゃ」
『“噂にある通り”、僕と彼女は人間の生気を吸わないと生きていられないのです……だから』
「スミマセン……って」


「ああーっ??」と急に大きな声を上げる。勿論、二人は驚いたように目をぱちくりとさせ、お互いの顔を見合わせる。
 一体、先ほどの言葉で何を思い付いたのだろう、と。


「そうですよ、噂を変えるんです! 噂からその部分を抜いてしまえば、恋愛成就の七不思議様になるじゃないですか!」



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