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夢幻水滸伝
第百二十三話 台風の中へその二

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「他の星の者達もな」
「する様な人はいないですね」
 又吉が吉川に答えた。
「どうも」
「そうだ、これは常識の行動ではない」
 芥川のこの度の策はというのだ。
「私も最初話を聞いた時何だと思った」
「その様な戦の仕方があるのかと」
「まさかな、だが」
「それでもですね」
「この戦の仕方ならな」
 吉川はこうも話した。
「南洋にも勝てる」
「左様ですね」
「私は勝利を確信している」
 吉川の表情は動かない、動揺も虚言も一切なかった。それがはっきりと表情に出ているのだ。そして言葉にもだ。
「これは勝てる」
「そうですね」
「そしてだが」
 吉川は又吉にさらに言った。
「食事だが」
「はい、今日のお昼ですが」
 宮子は吉川のその言葉に応えた。
「カツ丼です」
「そちらか」
「若布とお豆腐のお味噌汁にトマトとキャベツと胡瓜の酢のものです」
「そこでトマトか」
「トマトは身体にいいので」
 宮子は吉川のどうかという言葉に応えた。
「それで、です」
「出すか」
「そうなのです」
「カツ丼に酢のものか」
「合わないと思われますか」
「どうもな、だがトマト自体はな」
 どうかとだ、吉川は宮子にこう述べた。
「私は好きだ」
「それではですね」
「食べるとしよう」
「そうされますね」
「是非な」
 こう話してだった、吉川は艦の士官室で又吉そして宮子と共に食事を摂った。それは綾乃達も同じであったが。
 芥川はカツ丼を食いつつ笑って話した。
「読み通りや」
「敵の動きはやな」
「そや」
 まさにとだ、芥川は中里に答えた。
「そう来ると思ってた」
「何しろ合戦で勝つ戦やからやな」
「ここで日本本土に向かってもな」
「そこに僕等がおらんと意味はない」
「そや」
 芥川は中里に笑って答えた。
「それでや」
「こっちに来るとはやな」
「わかってたからな」
 それでというのだ。
「こっちの思うツボや」
「ここで僕等の方に来たところでやな」
「見せたるわ、向こうに」
「南洋の方にやな」
「僕等の秘策をな」
「秘策と言ってもやね」
 綾乃もカツ丼を食べている、そうしつつの言葉だった。
「見せるんやね」
「秘策も色々でや」
「今回は見せるんやね」
「ギリギリまで隠してな」
 そうしてというのだ。
「ここぞって時に見せたりもする」
「今回の芥川君の策はそれやね」
「そや」
 芥川は味噌汁を飲みつつ綾乃に応えた。
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