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夢幻水滸伝
第百二十三話 台風の中へその一
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               第百二十三話  台風の中へ
 吉川はこの時日本の旗艦である三笠の艦橋にいた、そこで自身の神具が伝えてくれるものを受け取りつつ述べた。
「敵の進路が変わった」
「琉球に向かっていましたが」
「それをですか」
「変えてきたのですか」
「そうなのですか」
「そうだ、南南西にだ」
 この方角にというのだ。
「進路を変えてきた」
「こちらに来ていますね」
「南南西ですと」
「ではこれからですね」
「我々に決戦と挑んできますね」
「そうしてくる、そして」
 神具からの情報をさらに受けつつだ、吉川は艦橋にいる士官達に話した。種族は色々だが着ている軍服は黒と金の詰襟である。
「我々が台風のところに来たあたりでな
「こちらに来ますね」
「そうなりますね」
「そしてそのうえで」
「そこで、ですね」
「戦になる」
 吉川はさらに言った。
「そして我々もだ」
「水軍もですね」
「そこで戦いとなりますね」
「その時に」
「そうなる、敵の場所はな」
 そちらの話もするのだった。
「私が全て正確に把握している」
「いつも通り優れていますね」
 又吉が言ってきた、彼も三笠の艦橋にいるのだ。
「吉川さんの神具は」
「望遠鏡、海図、そして羅針盤はな」
「その三つが揃っていれば」
「あらゆることがわかる」
「自分達の場所も含めて」
「全てわかる、自然環境までな」
 自分達と敵の場所だけでなく、というのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「今もわかる、南洋の者達はな」
「こちらに進路を変えてきましたね」
「日本には入らない」
「それは芥川さんのお話通りでしたね」
「この戦は領土の戦ではない」
 それを求めるものではないというのだ。
「各勢力が戦ってな」
「そうしてですね」
「覇者を決める戦だからな」
 それ故にというのだ。
「彼等はこちらに来ている」
「そういうことですね」
 ここで言ってきたのは宮子だった、今は蓬莱ではなくこちらにいてそのうえで艦隊の衛生状況等をチェックしているのだ。
「ここは」
「そうだ、だからだ」
「私達が台風に入った辺りで」
「敵と遭遇することになる」
「左様ですね」
「だがだ」
 吉川は宮子に話した。
「敵はこちらの動きをどう見ているか」
「まさか、ですね」
「台風の中に入りな」
「そのうえで台風を動かすとは」
「考えているか」
「その可能性はないですね」
「そう考える者はそうはいない」
 吉川は言い切った、彼が開いている神具である海図には台風まで出ている、フィリピンの東沖に発生したそれは今は北東に向かっている。
「台風の力を使うことは想定しても」
「それでもですね」
「その力をな」
「浮島にぶつ
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