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戦国異伝供書
第七十五話 逐一その六

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「あえてですな」
「兵を動かすふりをしてな」
「その実は、ですな」
「六角家を動かす、内輪で揉めておるなら」
 そうなっていればというのだ。
「まとめようと必死になるな」
「六角殿としては」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。
「余計に我等を攻めようとする」
「内輪揉めの目を外に向ける」
「そうして家をまとめる為にな」
「我等が動けばですか」
「六角家は動くであろう」
「兵を出してきますな」
「二万五千の大軍でな」
「そしてその大軍を、ですな」
「迎え撃つ、その場は」
 新九郎は鋭い顔になり述べた。
「野良田か」
「あの地ですか」
「あの地での戦になりますか」
「そうなりますか」
「そうなるであろう、我等が美濃に兵を向ければ」
 そこで隙が出来た、そう思えばというのだ。
「その時にな」
「軍勢を向けてくる」
「そしてその軍勢と、ですか」
「野良田での戦となる」
「そうなりますか」
「そしてな」 
 さらにというのだ。
「そこでの戦になるならな」
「野良田のことをですか」
「これまで以上に調べますか」
「そうしますか」
「そうしておこう」
 戦になる前にというのだ。
「念入りにな」
「そしてですな」
「敵がどう動いてくるかを考え」
「そしてこちらもどう動くかを考える」
「そうするのですな」
「そうじゃ、今から考えていく」
 野良田での戦のことをというのだ、新九郎は既に頭の中で野良田のことを考えその地も脳裏に浮かべていた。
 そうしてだ、家臣達に言うのだった。
「よいな」
「それでは、ですな」
「ここはじっくりとですな」
「戦の仕方を練り」
「そして戦いますな」
「そうするとしよう、では野良田のことを調べ」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「その後は、ですな」
「美濃にですな」
「そこに兵を動かす振りをする」
「そうしますな」
「左様、元々当家と斎藤家は仲が悪い」
 このことも使うというのだ。
「実際に兵を動かしたことは殆どないが」
「それでもですな」
「お互いに仲が悪い」
「そのことを使い」
「そしてですな」
「動くとしよう」
 ここまでだ、新九郎は言うのだった。
 とかく六角家との戦の用意を進めていたがここでこんな話も聞いた。
「織田弾正殿は随分とか」
「はい、殿の言われる通りかなりの方ですが」
「ただ資質がおありではなく」
「お顔立ちも随分よいとか」
「整ったものといいます」
「そうなのか、お顔のことまではな」
 信長のそれはというのだ。
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