第七十五話 逐一その二
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「六角家じゃが」
「あの家ですか」
「これから戦う」
「あの家のことですか」
「我等は戦に備えており」
そしてというのだ。
「その為に色々な政も進めておるが」
「あちらはどうもです」
「それが上手くいっておりませぬ」
「後藤殿が六角家を変える政を推し進めようとされましたが」
「それが上手にいかず」
「古いままの様です」
「そうじゃな、兵の数は確かにあちらが多いが」
このことはどうしても覆せないがというのだ。
「しかしな」
「そこは狙い目ですな」
「我等にとっては」
「そうなりますな」
「その通りじゃ」
新九郎は家臣達に強い声で話した。
「武具や兵法が古いならな」
「確かに鉄砲は少なく」
「槍も短い様ですな」
六角家はというのだ。
「具足もやけに大きくです」
「重く動きにくい古いものだとか」
「また近江の北も調べられず」
「それで、ですな」
「兵はあちらが倍以上あってもな」
それでもというのだ。
「戦の仕方がある」
「ですな、敵の武具が古くては」
「特に鉄砲が少ないと」
「それならですか」
「狙える、しかも我等は近江の北のことはよくわかっておる」
自分達の領地のことはというのだ。
「隅までな」
「それに対してですな」
「倒する六角家の方は」
「近江の北は領地でなく」
「それで、ですな」
「そうじゃ、衝くべきところは多い」
六角家のそれはというのだ。
「ならな」
「衝いていきまするな」
「そうしますな」
「遠慮なく」
「そうして勝つとしよう、それで兵達はよく鍛えるが」
このことについても話すのだった。
「しかしな」
「鉄砲と、ですな」
「そして長い槍を持たせてですな」
「そうしたものを使わせた鍛錬をさせますな」
「それをさせますな」
「よくな、そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「よく戦える様にするぞ」
「それで殿」
海北が言ってきた。
「近江の一向宗ですが」
「あの者達か」
「今は我等にはです」
「何もしてこぬか」
「大人しいです」
そうだというのだ。
「至って」
「それは何よりじゃな」
「六角家にもそうですが」
「両方にか」
「大人しいです」
「どうもです」
ここでだ、赤尾が言ってきた。
「今少なくとも近江の一向宗はです」
「静かか」
「他の国は知りませぬが」
それでもというのだ。
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