33 夜中の大豪雨
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避難勧告発令の為、両親と共に家を出た。
「それにしても今までの雨とは比べ物にならないくらい酷いな」
「かよ子、あの杖は持ってる?」
「う、うん!」
さすがにおっちょこちょいのかよ子でもその杖だけは忘れる事はなかった。既に雨水は増えており、かよ子の膝の上にまで使っている。上手く歩けず、泳いだ方が進めると皮肉を言いたいくらいだ。その時、戦艦大和のようなものが現れた。しかし、戦艦にしては水線長が短く、幅も道路を通れる程度である。
「あ、皆、これに乗って!!」
デッキに見えたのは隣のおばさんだった。
「あ、奈美子さん!」
皆は戦艦についていた梯子でデッキにのぼり、ハッチの中に入った。そこには奈美子の主人、その娘、そして甥もいた。
「あ、かよちゃん!」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
内装が戦艦の中みたいで驚くと共に、三河口とさりに会えて少し嬉しかった。
「すごいね」
「叔母さんが護符の力で出した戦艦だよ」
「私は外国の客船みたいなのがよかったんだけどね」
「そんな贅沢言ってる場合じゃないよ」
奈美子が窘めた。
「はあい・・・」
かよ子は三河口が険しい表情をしているのに気づいた。
「お兄ちゃん」
「え?」
「どうしたの?」
「ああ、この豪雨に変な胸騒ぎを感じるんだ。異世界からの敵が来たような感触をね」
「え!?じゃ、じゃあ、やっぱりこれは異世界の敵の仕業なの!?」
「そうかもしれないね」
その時、奈美子が呼び掛ける。
「雨が強くなってきたよ!さり、健ちゃん、避難に遅れている人を助け出すよ!!」
「はい!」
「わ、私も行く!!」
かよ子も動き出す。皆、動き始めた。
冬田は雨が家の屋根を打つ音で眠れなかった。
(雨が酷いわあ・・・)
遠くから避難勧告が発令される声が聞こえたが、幸い冬田の住んでいる所は高台の方の為、道路の浸水は免れている。
(大野くうん、私怖いわあ・・・)
冬田は好きな男子の事を考える。大野の家は浸水の被害に遭っているのではないかと。
(やっぱり大野君の事がとっても心配だわあ・・・!!)
その時、冬田は以前フローレンスという異世界の女性から貰った羽根を思い出す。今ならそれで大野の様子を確認できるのではと考えた。冬田はベッドから出て、机の引き出しにしまっていた羽根を取り出した。そして窓から羽根に乗って出ていった。
二人の男は日本の上空に辿り着いた。そして大雨の様を見て喜ぶ。
「弟よ、見たまえ。雨が強くなっているぞ!天が私に仕事をやりやすくしているぞ!」
「よかったな、兄貴!」
悪天候にも関わらず三保の飛行場に普通に着陸した。
「はて、奴等を探さないとな」
「こういう時こそ動いているはずだからなあ」
旧約聖書のような洪水の中、かよ子達は
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