第一部
札を切る
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
やもしれんな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
紫闇はわざと攻撃を受けた。
そして後ろへ跳ぶ。
彼が着地すると翔は既に目前まで踏み込みながらジャブを放っている最中。
だが紫闇は慌てない。
足に魔晄を集め【禍孔雀】を発動。
直線のジャブに合わせた後ろ回し蹴り。
が、翔はバックステップしながら左腕を引き、カウンターの後ろ回し蹴りを回避。
着地直後に紫闇の正面から外れ横へ跳ぶ。
空振りした紫闇の足が床へ落ちると通常の禍孔雀と同じで爆発が起きた。
黄金の魔晄粒子が結界内に飛散。
爆煙と輝きが立ち込め視界を防ぐ。
(無駄なことを)
翔の全身から魔晄が噴射され煙が晴れる。
上空からは音隼/双式の推進力で急速降下してくる紫闇が足刀を放っていた。
当然のように反応した翔は迎撃の左。
足刀とジャブが衝突する直前。
(あんがとよ。反応してくれて)
不敵な笑みの紫闇は『それ』を出す。
【盾梟/丸魔】と音隼/双式。
二つの同時発動。
盾梟に強化された魔晄防壁が球状に。
翔の左が防壁に激突。
その隙に紫闇は音隼の空中移動。
両足が開きシザースロー(蟹挟み)へ。
翔の腰辺りを挟んだ紫闇は体を捻って無理やり彼を引き倒そうとする。
しかし大木のように動かない。
地面に根を張っているようだ。
紫闇は冷や汗を掻く。
「成る程な」
翔は自分に【夏期龍帝祭】への出場を依頼した生徒会長の《島崎向子》から聞いていた。
【黒鋼流】の技[三羽鳥]
音隼・盾梟・禍孔雀の三つ。
これらは同時に出来ない技だと。
「お前は特別なのか立華」
翔は笑みを浮かべ問うが紫闇は青ざめた顔で蟹挟みを極めたまま固まる。
「……そうだ。一羽が羽撃く時に他の二羽は翼を広げられない。黒鋼流では常識だよ。俺は三羽とも飛ばせるけどな……」
しかし切り札とも言える秘密を明かしたにも関わらず紫闇は寝技に入れない。
《江神春斗》へ用意していた対策は翔のフィジカルによって破られた。
「今は弱いが確信した。立華は強くなる。だからもう暫く付き合わせてくれ。成長する為の糧となろう。それを以て江神に挑んでみろ。俺に勝てたらの話だけどな」
翔は魔晄で強化された単純な筋力で紫闇の拘束を外し互いの体術が届かぬ位置へ。
そこで第1ラウンドが終了した。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ