第4話 出会い、歩み寄る者達・事情と理由と旅立ちと
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生きている可能性も話す。
「・・・そっか、私、本当に化け物になっちゃったんだ」
そう寂しそうに話す彼女を抱きしめずにはいられなかった。
「・・・・・・そんな言い方しない方がいいわ。・・・私は、『人ならざる者』って言う事にしている」
「『人ならざる者』?」
「えぇ、人以上の力を持つ、人以外の存在。その方が、化け物よりは響きがいいでしょ?」
「くすくす、シルヴィアさんは神様ですけどね」
「あら?どちらかというと魔王様よ?」
気分を変えるためにおどけた会話を続けながら、神と魔王の違いを話す。
もちろん、色欲に溺れれば魔王に・・・などと話せないので、出世欲や金銭欲に置き換え、本能や欲望に忠実だと魔王や悪魔よりの存在になる事、そこでの正義と悪が一義的ではないことも説明した。
そうして話を聞いていたエヴァちゃんがおもむろに、そして意を決したように問いかける。
「それで・・・シルヴィアさんは、なぜ私を助けてくれたんですか?」
「・・・私は、エヴァちゃんが良ければ一緒に旅をしたいと思っている」
その私の言葉に目を見開き驚く彼女。その瞳が揺れる。
そんな彼女に話を続ける。
『人間界』には、目的や理由となる『物語』が存在する。その『物語』が他の『人間界』に、娯楽と言う意味での『物語』として存在する場合がある。
これを原作と言い、この『人間界』の原作が、かつて私が居た『人間界』に存在した。
「!それじゃぁ・・・」
「えぇ、その中にエヴァンジェリン・マクダウェルという人物も登場していた」
その事実に更に驚くエヴァちゃん。
ここで誤解を与えないように一気に続ける。
「私は原作の中のエヴァンジェリンが好きだった。そして、その原作を基にしたこの『人間界』に来ると分かった時、彼女を救いたいと思った。彼女も、不老不死として、孤独に苦しんでいたから。そして私は貴女の前に現れた・・・だけど気付いたの」
そこで私は彼女を抱き寄せ、その瞳を真正面から見つめる。
昨日、決して傷つけないと誓った時のように。心が伝わるように。
「今目の前に居るエヴァちゃんと、原作のエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは違う。私はこの人間界に来る前に決めた事があるの。それは『私は、私自身と私の大切な者のために生きる』と言うもの。その私が、今、守り一緒に旅をしたいと、共に生きていきたいと思っているのは原作の彼女ではなく、目の前のエヴァちゃんだから」
そこまで話した私は、一旦口をつぐむ。私も彼女も、視線をそらさず見つめ続ける。
「もし・・・・・・嫌だったり、時間が必要なら・・・」
「行きます」
すこし間を置こうか・・・そう続けようとした私に、エヴァちゃんははっ
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