第4話 出会い、歩み寄る者達・事情と理由と旅立ちと
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んでね。私は・・・エヴァちゃんて呼んでもいいかしら?」
「はい・・えと、シルヴィアさん」
はにかみながら答えるエヴァちゃん。
でも、この後その笑顔を歪めてしまうかもと思うと心苦しい。
それでも事態の把握が出来た方が良いのも事実だ。
「エヴァちゃん、さっそくだけど・・・何があったか、話せる?」
「!・・・・・・」
「無理に、とは言わないわ。ただ・・・」
「いえ、大丈夫です」
そう答え、まっすぐ見つめてくる瞳の何と力強いことか。
この子は本当に10歳の少女なのかと思えてしまう。
わずかに震える肩を見なければ、本気で疑ってしまっただろう。
「ただ・・・あの・・・」
そうして、私の隣に視線を向ける。それだけで何を願っているのか分かった私は手招きする。
ほっとして、隣に座ろうとしたエヴァちゃんを、私は抱き寄せ膝の上に座らせる。そうして腕の中に抱きしめる。
「ひゃっ!」
「無理はしない事。いい?」
「・・・はい」
そうして語り出したところによれば。
彼女はやはり、とあるイギリスの地方領主の娘。ただし、血の繋がりはなく、預けられた身だそうだ。
1390年に生まれ、実の両親は病ですでに他界。知人であった領主夫妻に預けられ、実の娘のように可愛がられていた。
血の繋がりがない事は周囲にも公表されており、それでもなお、子供のいない領主夫婦に変わりいずれは婿を・・・などと話が出るくらい、認められていたらしい。
彼女も義理の両親に懐き、幸せに暮らしていたそうだ。
その幸せが崩れ、事が起こったのは彼女の10歳の誕生日。
途中、具合が悪くなり一旦部屋に引き揚げた後眠ってしまったそうだ。
目が覚め広間に戻ると、そこは既に血の海。
中央に立っていた男の足元には、両親の亡骸。
そこから先は断片的な記憶しかないらしい。
覚えているのは、男の話し、男が自分に呪いをかけたという事、吸血鬼と言う単語、成功に酔った男が両親を足蹴にしたこと、そして・・・右手に残る血肉を断つ感触。
気付いた時、男の身体はばらばらになり、床に散らばっていた。
自分の力に、行った所業に恐れ慄く彼女。
しかし次の瞬間、窓からさす日の光が、いつのまにか朝になっていた事を知らせる。
このままではいずれ異変に気付かれる。
その時自分はどうなる?これだけの惨劇、1人生き残った自分の強大な力・・・
その時全てを理解していた訳でも、想像していた訳でもない。
ただ本能が、吸血鬼の真祖として覚醒した生存本能・危機察知能力が、このままここに居ることの危険性に警鐘を鳴らした。
とっさに両親の手から指輪をは
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