第4話 出会い、歩み寄る者達・事情と理由と旅立ちと
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でいた。
人間の3大欲求の1つ、食欲が満たされて、さらに安心できたのかな?
私はそっと立ちあがり、頬に手を伸ばす。
最初はびくりと震えた彼女も、その手から逃れはしない。
だから私は、ゆっくりと、慈しむように彼女の頬を撫でる。
その瞬間、彼女は焚き火を回り込み、私に抱きついてきた。
腰にまわされた腕はきつく締められ、腹部に顔が押し付けらる。
小さな体から震えが伝わる。
だから私は、彼女を優しく抱きしめ、一緒に岩に腰掛ける。
「ふっ・・・ぐすっ・・・うぅ」
「もぅ・・・いいのよ。よくがんばったわね・・・もう大丈夫。私はここにいる。あなたとずっと、一緒に居るわ」
「うあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
私が小さく囁くと、少女の悲しみと喜び、その他様々な感情を取り込んだ泣き声が、夕闇に染まる森に響き渡った。
翌朝。
あのまま彼女は泣き疲れ、そのまま眠った。
私は彼女の頭を膝に乗せながら、万一に備え岩に座りながら眠った。
そして目覚めると、目の前には彼女の可愛い寝顔。
豊かな金の長髪は朝の光に輝く。
完成された西洋人形のような容姿は、今の私の姿とはまた違った美しさ。
今は閉じられている深紅の瞳は、白い肌にも映える。
着ていた黒のワンピースドレスは、逃亡中に所々裂けたのかボロボロだ。
それでもその美しさを損なう事はない。
そんな可愛らしい妖精は、穏やかな寝息と共に、未だ夢の中。
つい悪戯心が起きて、その頬をぷにぷにと突く。
そんな風に穏やかな時を過ごしていると、そのうち彼女も起きる。
「・・・・・・あっ」
「おはよう、良く眠れた?」
「・・・はい、ありがとう・・・ございます」
挨拶を交わし問いかければ、体を起こし、頬を染めながら頭を下げる。
そんな彼女に微笑みかけながら、手を取り立ちあがる。
「どういたしまして。まずは顔洗って、ご飯食べて、話はそれからにしましょう」
そういうとリュックからタオルを取り出し、2人で川に向かう。
手を握れば、きゅっと握り返される。そんな感触を噛みしめながら。
「昨日は危ないところをありがとうございました。名乗りもせずにすみません。エヴァンジェリン・マクダウェルです」
食事を終え、さぁ何から話そうかと考え出したところで、彼女は姿勢を正し、深々と頭を下げながら名乗り上げた。
親の躾の賜物か、10歳とは思えない堂々とした謝意と謝罪。
「いいのよ、あなたも大変だったのだから。それじゃぁ改めて、私はシルヴィア。後で話すけどファミリーネームはないの。好きに呼
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