第4話 出会い、歩み寄る者達・事情と理由と旅立ちと
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集めた薪を持って戻る。
「あの・・・これ・・・中身が。それに・・・このマントも」
水筒を掲げ、訪ねてくる彼女。
「えぇ、それも魔法の効果なの。中身は無くならないから好きなだけ飲んでいいのよ。魔法の事も気になるだろうけど、後でちゃんと説明するわ」
安心させるように微笑みかけると、薪の準備を始める。
既に前の旅人が残したおかげで石の竈が作られていたので、そこに必要なだけの薪を並べ、リュックから火打石を取り出して着火する。
数回打つだけであっさり火種が着く。・・・確実に魔法の効果と思いさっと確認すると、ある意味予想通りで魔力付与がされていた。
明確な魔法ではなく、魔力付与。ようはとてつもなく火が付きやすいが分類上ただの火打石、と言うことだ。
まぁいいやとリュックに仕舞うと、今度は食糧が入った小分け袋を取り出す。
中には乾物と果物がごろごろ。あとは塩と・・・紅茶の壺。とりあえず、ステーキみたいな大きさのビーフジャーキーと、魚の干物、リンゴを取り出すと袋をそのまま彼女に渡す。
「あんまり種類ないけど、好きなの食べていいから」
座っていた岩にそれらを置くと、リュックから鍋を取り出し川に水を汲みに行く。
別に水筒から入れてもいいのだけれど、汲んだ方が早いから行く。
そういえば、乾物と干物って別物だったかしら?スルメはどっちだろ。
どっちにしても、手軽な乾物系はこれから自作しなければならないわね。
あの小分け袋、生モノでも腐る事はないよう魔力が籠っているけど、片手で食べられるのは捨てがたいしね。
肉は血抜き・解体・塩漬けした後燻製、魚は開いて内臓取り除いて塩漬けの後、天日干しで半日・・・だったかしら。
はぁ・・・元々、余程のものでない限り美味しいと思えちゃう味音痴のお蔭で、料理に興味無かったのがここで響くとはね。
神様に貰った一般常識も、全く知らないと思いだしにくいみたいだし。これは盲点だったわ。
そんな事を考えながら、ジャーキーを齧りつつ川で水を汲み戻る。
戻ってみるとそこには・・・小動物がいた。
頬いっぱいに乾物や果物を詰め込む様は、リスやハムスターを想像させる。
この1週間、ほとんど飲まず食わずで、逃げていたのだろう。
少しは警戒を緩めてくれたのか、その分忘れていた空腹にさらされた、というところかしら。
私が戻ったのに気付くと、頬を染め、申し訳なさそうにおろおろする。
「いいのよ、おなか減っていたのでしょ?好きなだけ食べていいの。でも焦って食べると喉詰まらせちゃうわよ?」
安心させるように微笑みながら、水の入った鍋を火にかける。
そうして視線を戻すと、口の中のものを飲み込んだ彼女は、何かを堪えるように唇を結ん
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