暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第18話:解き放たれる魔弓
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 女相手にこんな事して、恥ずかしくないのかよッ!?」
「ん? 全然? 何だったらこんなこともしちゃうもんね」

 言うが早いか、ウィザードは再び体を液状化させると少女の体勢を変化させ別の技を決めた状態で再び実体化した。今度は卍固めと言う技だ。肩・脇腹・腰・首筋に走る痛みに、先程以上の悲鳴が少女の口から飛び出した。

「いだぁぁぁぁぁだだだだっ?!」
「ほ〜れほれ、こうなったら鞭も蹴りも使えないだろ? 大人しく降参しちまいな」
「傍から見てるとかなり問題あるぞその光景」
「通報待ったなしですね」

 効果的ではあるが、少女相手に一端の男性がプロレス技を掛けると言う光景はそこはかとない犯罪臭が漂っていた。と言うか、状況が状況なら普通に事案だ。警察に通報されても文句は言えない。

 だがそんな事はウィザードにとってどこ吹く風、全く気にした様子を見せなかった。

「うるせぇな、恥ずかし固めを使わないだけ良識ある方だろうがッ!!」
「い、いや〜、あんまり大差ないような気が…………」

 因みに恥ずかし固めとは、早い話が女性相手に使う股を大開脚させた状態でホールドする関節技の一種である。キン〇バスターなどが想像しやすいだろうか。
 技の形からして想像できるだろうがこの技は威力も然る事ながら女性が相手の時のビジュアルが他の技に比べて殊更にえげつなく、特にスカートを履いた女性相手に使うと見た目がとんでもない事になる。確かに彼の言う通りこれを年頃の少女相手に極めないのはある意味良識はあるように思えなくもないが、それ以外の技も男性が女性に掛けるのはビジュアル的に問題大有りなので響の言う通りあまり差は感じられなかった。

 とは言え、ビジュアルがどうだろうと効果的であることに変わりはない。こうも綺麗に関節技を極められてしまっては少女に出来ることは降参だけとなるのは誰の目にも明らかである。

 だと言うのに、少女の目には微塵も諦めの色が見られない。それどころか徐に笑みを浮かべ始め、ウィザードは思わず技に掛けている力をほんの少し緩めてしまった。

「く、くくく……」
「あん? 何がおかしい?」
「あぁ、おかしいさ。これで勝った気になってるお前らのお気楽さがね」
「────何?」

 少女の言葉に首を傾げるウィザード。その言葉の意味を問い掛けるよりも早くに、少女が予想外の行動を起こした。

「こういう事さ…………アーマーパージだぁッ!!」

 瞬間、少女が纏っていた銀色の鎧が弾け飛んだ。四方八方に高速で弾け飛ぶ鎧の欠片は密着していたウィザードに容赦なく襲い掛かる。リキッドの魔法の効果でダメージこそ無かったが、至近距離で受けた衝撃は凄まじく液状化したウィザードの体が彼の意思に反して遠くに吹き飛ばされてしまう程だった。


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