ターン21 歯車たちの不協和音
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のですが、我々にとっても朝顔さんの敵討ちです。ルールはバトルロイヤル、攻撃は一巡後から。エクストラモンスターゾーンは2か所を早いもの順……こんなところでよろしいですか?」
青木の提案に、人影は無言で頷いた。デュエルディスクによってランダムに定まった先攻1ターン目のターンプレイヤー、つまり最も早く攻撃が可能となるデュエリストはその人影だった。3分の2を外したことで同時に表情が歪む2人だが、すぐに気を取り直していったいどんな手で来るのかを見極めるべく神経を集中させる。
「……。……!」
地雷蜘蛛 攻2200→3200
人影が最初に繰り出したモンスターは、レベル4の下級モンスターでありながら高い攻撃力と強烈なリスクを併せ持つ昆虫モンスター。さらにそこへ装備魔法、愚鈍な斧が装備されることでその攻撃力は1000上昇する。
「(装備モンスターの効果を無効にする装備魔法、愚鈍な斧にデメリットアタッカー。普通に考えれば【スキドレ昆虫】の類でしょうが……)」
「(あの朝顔を倒した実力。それだけで勝てるはずがない)」
最初に繰り出された2枚のカードからデッキを判別すべく、2人のプロがアイコンタクトをとる。現時点で最も可能性が高いのは、今出てきた地雷蜘蛛や地獄大百足などのデメリット効果の代わりに高い攻撃力を持つモンスターでメインデッキを固め、それをまとめて無効化することで高攻撃力のメリットだけを存分に発揮しつつ相手の厄介なモンスター効果を封じ込める通称【スキドレ昆虫】。墓地で発動する効果にはスキルドレインが及ばないことから、共振虫などのサポートカードで戦線を維持しやすいのが強みのデッキである。
しかし2人の元プロは、それだけで朝顔に勝つことはほぼ不可能だと断言する。理由は単純、スキルドレイン下での戦闘では純粋な数値が物を言うからだ。彼の操る【Sin】は当たり前のように攻撃力4000台をはじき出し、【インティ&クイラ】が互いを蘇生する効果もまたスキルドレインには邪魔されない。【スキドレ昆虫】自体の強弱ではなく、単純に朝顔のデッキとは相性が極端に悪いのだ。
そんな思いを知ってか知らずか、さらに人影は次のカードを出す。
「……」
「超進化の繭、ですか」
速攻魔法、超進化の繭。装備魔法を装備した昆虫族モンスターをリリースし、デッキから昆虫族モンスターをその召喚条件を無視して特殊召喚するカード。速攻魔法ということは当然このターンは伏せておき、相手の除去に合わせサクリファイス・エスケープを狙うことも可能だったはずである。しかしこの人影はそんなことお構いなしに、攻撃できるわけでもない1ターン目に躊躇なく発動した。その真意を推理する暇もなく地雷蜘蛛の姿が裂け、内部から毒々しい
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